rain




今日は 雨
しかも寒い


そして 学校は休み



「暇だよ〜、一護ぉ」


ボフンと黄色いライオンのぬいぐるみを抱き締めながら一護のベッドに倒れ込んだ



当の本人は、勉強机に向かってカリカリと勉強をしている


何よー
真面目になっちゃって


「暇じゃねえだろ、来週から期末試験だぞ?ちょっとくらい勉強しろよ」


「えー今日やる気起こんない」


「いつもじゃねえか」


「えへ、息抜き」


はあ、と大きなため息をついて一護は椅子から立ち上がってベッドに座った


私達は高2
この期末試験が終われば私達は晴れて高3になるのだ


一護はしばらく学校に来てなかった
何か分からないけど、サボりではないんだと思う
だって時々来てた時の深刻そうな顔は忘れない


私達は恋人ではない
一方的な私の想いだったりする

一護は優しい
突き放したりはしない
他の女子なら期待をするんだろう、そして気持ちを隠さないだろう

でも私は知っている
彼はそんなものに興味がない


だから期待しない
だから側にいる


朽木さんは転校した
転校してから一度も姿を見せない


朽木さんの代わりになりたい訳じゃないが、どこか一護は寂しそうなのだ
一護は抱え込んでいる


ずっと見てきた
そんなのすぐに分かる





「あー」


一護はゴロンとベッドに横になる



きっと毎日悩んでいるんだろう



私には何も出来ない




「一護は、強いよね」


「あ?」


「なんだろー強くなった、かなあ」


「……」



一護は目を丸くさせて私を見た

変な事言っちゃったかな




「…なんだそれ」


ふ と優しく笑ってまた立ち上がった
勉強机に向かう一護の後ろ姿は、格好良かった

素敵だと思った




まだ雨は止みそうにない