不安だけど


「喜助さんってなに考えてるのかよく分かんない」


さらっと言われた一言




無言でいたら更にもう一言



「あと、なんてゆうか…ちょっと遠いとこにいる気がするの」




正しいといえば正しいけども
距離感を感じさせてるんスかねぇ



『死神』と『人間』
越えてはいけない線を無視してこの娘を愛してしまった…



なんて言葉だけ飾ってもしょうがないんスよ


はあ と溜め息をついたアタシ




「あははっ」




「――――え?」



顔をふと上げればケラケラと笑う彼女
何が可笑しいんでしょ


アタシは真剣に考えようとしていたのに
それなのに彼女は笑うなんて

からかってたんですか


小さな苛立ちを覚えながらまた溜め息をひとつ
アタシの変化に気付いたのか、彼女はアタシの隣に座った


優しい、彼女の香り
細い細い肩が寄っ掛かってくる



「…なまえさん」




「ごめんね、」



「…………」「でもね、やっぱりちょっと不安。ちょっとだけ」


ポツリと呟いた言葉がアタシの胸に刺さる




「でも、喜助さんのこと大好きなの」



一生懸命伝えようとする姿が愛しくて、肩を優しく抱いた





「…不安にさせてたんスか?」

「そ、そんなことないもん」




素直じゃないっスね、そう言えば何よ、とちらりと睨んできた


「なまえさんこっち向いてください」


視線が絡み合う


「愛してますよ」



ゆでダコのように真っ赤になった彼女にそっと口付けをした






せめて、この穏やかな時間が終わるまで
出来るならば、このままで