vanitas 「春ですねえ〜」 庭には小さく桜が咲いている。 もう 何年、何百年が過ぎただろうか 忘れられない記憶が頭の中を支配する 百年前 「…はら…たいちょ…」 ぼんやりと誰かが自分に向かって話しているのが分かる 「ん…」 「浦原隊長っ!」 「アイタッ!!」 おでこにしっぺをされて無理やり起こされた 全く、気持ちよく寝ていたのに 「なんスか〜…そんなにかまって欲しいんスか?」 「ちっ違いますっ!これから十二番隊のみんなでお花見なんです!」 顔を少し紅くしながらぷりぷり怒って答える彼女。 部下でもあり、愛しい恋人でもある。 いい加減'隊長'って呼ぶのやめて欲しいんスけどねぇ… 苦笑しながら彼女の手を引っ張る 突然にびっくりした彼女はすっぽりとボクの腕の中に閉じ込められた 「なまえさん、行くの面倒だから一緒にいません?」 なまえさんの髪が良い香りだなあ〜なんて思いながら言う 「えぇえ…お花見行きましょうよ…」 照れながらもボクの背中に手を回してくれるのが嬉しくて。 「じゃあ二人で見に行きましょ♪」 その発言にはにかみながらはい、と答える彼女が可愛くて可愛くて、ついキスを落とした 結局桜はまだ満開じゃなくて。 でもなまえさんが桜を見てはしゃいでるのを見たらボクも嬉しくなって。 毎年ここに来ようねって約束をして でも、次の年からはその約束は叶わなくて。 「なまえさん…」 どんなに思い焦がれても どんなに耳を澄ましても 彼女の声は聞こえなくて もう一度抱き締めたくて。 「時効は…いつなんでショ」 辛いから忘れたくて 忘れられない。 なまえさんにとって この日が素晴らしい日でありますように * DIR EN GREYのVANITASをイメージしました。 切ないですよね この曲とても良いですよ(^^) |