銀色ジャスティス | ナノ


▼ 昨日の敵は今日もなんやかんやで敵

「なんだァァァコイツらァァァ!!」

「まるで歯がたたぬぞ!一体どこの門下だ!?」

『さっき説明したでしょー。天然パーマ流だよバカヤロー』

「いやそれほんとにあってるの!?」

『だまらっしゃい!』


あたし達は各々好き勝手に暴れていた。何これ超楽しい。鬱憤が晴らせるってすばらしいね。


「新八ぃ てめェは減給だぜバカタレェ!!なんでこんなマネする前に俺に一言言わなかった!一人で煮つまりやがって!」

「そうアル!一人でこんな面白そうな事シコシコ計画して。一言声かけろヨ!お前は今日からシコッ八な!!」

「貴様らァ!新八君の気もしらんで勝手ぬかすなァ!!新八君は貴様らを巻き込みたくなかったというのがわからんかァ!!」

「うるせーゴリラ。じゃあなんでお前は巻き込まれてんだよ!さてはてめーが新八たぶらかしたな!俺の幼馴染みまで巻き込みやがって!」

「こいつは俺達のエゴだからよ!!お妙さんは自ら望んでここへ嫁ごうとしている!理由はしらん!だが俺達はそれが気にくわん!あんな顔でさよならなんてできるわけもねェ!!」


その言葉で昨日の…今にも泣きそうな顔をしたお妙の顔が頭に浮かんできた。


「こんなマネしても誰も喜ぶ奴なんていないのかもしれん!お妙さんはこんな事望んでないのかもしれん!それでも自分てめーの我を通したい奴だけここに来た!お妙さんにもう一度会いてェ奴だけここに来た!」


連中が東城さんを呼んでこいと叫び出す。
東城さんって誰だ。


「大義もクソもない戦いに余計な奴巻き込むワケにはいかんだろ!なのになんでお前らまで来るかなァァもォォォ!!」

「近藤さん、心配いらねーよ。俺も我ァ通しに来ただけだ。柳生には借りがある。そいつを返しに来ただけさ。ちなみに今日は仕事休みだしそこんとこも心配いらねェ」

「近藤さん、俺も我ァ通しに来ただけでさァ。このままいけばゴリラを姐さんと呼ばなきゃいけなくなる。ちなみに今日はバリバリ仕事でしたがサボって来ました」

「オメーはホントに我だな!!」

「なんでィ、近藤さんと風香だってサボりのくせに」

「俺はちゃんと有給とってきました!」

『あたしは元から今日休みだし』


ざまぁと笑うと殴られた。なぜ。しかも木刀で頭狙ってきたよアイツ。殺す気か。


「銀さん…僕ねェ…もうシスコンと呼ばれてもいいです。僕は姉上が大好きですよ。離れるのはイヤだ。できる事ならずっと一緒にいたいです。でもねェ…」


新八はポツリポツリと話し出す。


「姉上が心底ほれて連れてきたひとなら、たとえそれが万年金欠のうさん臭い男でも、ゴリラのストーカーでも、マヨラーでもドSでもマダオでも痔でも、姉上が幸せになれるなら誰だって釜やしないんです。送り出す覚悟はもうできてるんだ。泣きながら赤飯炊く覚悟はもうできてるんだ。…僕は仕方ないでしょ泣いても…そりゃ泣きますよ」


でも、と新八は続けた。


「泣いてる姉上を見送るなんてマネは、まっぴら御免こうむります。僕は姉上にはいつも笑っていて欲しいんです。それが姉弟でしょ」


新八は大粒の涙を流していた。
あたし達に背を向ける新八を追い越すのは銀時と神楽で。


「銀ちゃん。アネゴがホントにあのチビ助にほれてたらどうなるネ。私達完全に悪役アル」

「悪役にゃ慣れてるだろ。人の邪魔するのもな。新八、覚えとけよ。俺達ゃ正義の味方でもてめーのネーちゃんの見方でもねェよ。てめーの味方だ」


「言っておくが俺は味方じゃねェぞ。たまたま喧嘩相手が一緒なだけだ」


「ベタじゃない?ベジータ気どりでさァ。あのままさり気なく仲間になるつもりだぜ、気をつけな」


『ま、あたし達も気持ちは同じってことで』


銀時達に続くようにして土方さん、総悟、あたしの順番に新八を追い越していく。
そして近藤さんは新八の肩をたたいた。


「…仲間とは程遠いが、この七人なら天下の柳生にも勝てるやもしれん。いくか、義弟おとうとよ」

「誰が義弟おとうと?」





第六十六訓
昨日の敵は今日もなんやかんやで敵





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