▼ んまい棒は意外とお腹いっぱいになる
『え?なに?ラーメン屋に桂がいるって?』
「そうだよ。だからお前も飯なんか食ってないで早く支度しろ」
『はあ?ふざけんなよクソが。こっちはめっちゃ腹減ってんだよ』
「それは今まで寝てたテメーが悪いだろーが!」
『いった!殴ることないじゃん!』
…なんてやり取りを土方さんとしたのが数十分前。
ああかったるい。てゆーかヅラがラーメン屋なんかにいるわけないじゃん。幾松さんの所ならともかく。なんでも撮影がどーたらこーたらって土方さん言ってたけどそんなの受けるわけない…よね?受けないよね?そこまでバカじゃないよね?……やべえ完全に否定できない自分がいる。
「あいつは…桂がいつも連れてるバケモンじゃねえか!」
『(なんでエリザベスが店の前にいんだ!)』
「ってことはここに桂がいることは明白だな」
『(やっぱバカだ。やっぱバカだったよアイツ!)』
「よーし、お前ら突撃だー」
そう言って総悟はエリザベスに飛び蹴りを食らわせた。
店に突っ込むエリザベス。
「カーツラぁぁぁぁ!!今日こそ年貢の納め時だぜィ!!」
「しっ…真選組です!!なんという事でしょう!取材現場が彼等にかぎつけられていたようです!!」
そりゃ、ラーメン屋の前にエリザベスなんていたら取材どうこうじゃなくてヅラがいるってことくらいバレるでしょうに。
てか、ホントに取材受けてるよ。
『幾松さんごめんね、ドア壊しちゃった。あ、請求は桂小太郎で』
「あいよ」
そんなやりとりをして、二階に上がっていったヅラを追いかけた。
『ヅラてめぇ何してんだよ殺すぞ』
「風香!?俺はお前をそんな子に育てた覚えはありません!」
『黙れ死ね』
「おおっと!?攘夷志士である桂小太郎と真選組である日比野風香は知り合いなのか!?なにやら親しげな感じですが…お二人はどういったご関係で?」
『敵です以上。さておとなしくお縄についてもらおうか、桂小太郎?』
「!?」
ヅラに“何言ってんの!?”みたいな目で見られてるけど気にしない。だって本当のことだし。
二階から逃げようとしていたヅラだが、真選組の方が早かった。先回りしていたのだ。
「カーツラぁぁぁ!!」
「うわァァァァァァァァ!!」
『……』
ヅラは叫び、隊士を蹴り飛ばした。
『ねェヅラ、今うわァァァって言ってたよね』
「かけ声だ。うおりゃああの間違いだ」
『いや明らかにビビって…』
あたしの言葉を遮るように次々と隊士が刀を持って突っ込んでくる。
「風香にかまわずやれェェェ!!」
『いやかまって!?』
「んまい棒
んまい棒を屋根に投げて煙幕代わりにして逃げた。
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