▼ もの食べるときクチャクチャ音をたてない
『今宵はホストクラブ高天原へよーこそいらっしゃいました』
「当クラブトップ4ホストの一人 シンです」
「ギンです。ジャストドゥーイット」
「グラだぜ、フゥー」
『フウでーっす、ラビュー』
第六十訓
もの食べるときクチャクチャ音をたてない
「なっ…」
「度胸あるやないか、こっち来い。ホンマはキレーなネェちゃんはべらしたいトコやけどな」
唖然とする狂死郎に対し、勝男はソファに悠々と座っている。
銀時に気づくおばさん。あたしは周りに悟られないように気を配りながらさり気なくおばさんに近づき腹を殴り気絶させた。
「? アレ?銀さ…ぐぇふ」
『アララ〜 もう潰れちゃったの?しょうがないなー』
「いやオバはんまだ飲んでへんで」
「オイ シン、ババ…お客さんをあちらに寝かせてジャストドゥーイット」
「オッケェイ 我が命にかえても」
「なんやウザイんやけど」
おばさんを奥まで運ぶ新八。
あたしは勝男の隣に座り接客を再開させる。
「まァエエわ。狂死郎はん、話を元に戻…」
『何飲みます?』
「焼酎水割り7:3で。話を元に戻…」
『焼酎3?水3?』
「焼酎や。話を元に戻…」
『焼酎3?』
「せやから焼酎3やて!話を元に戻…」
『焼酎さん何飲みます?』
「焼酎さんちゃうわァァ!!いや焼酎3やけれども!この“3”は“さん”やのーてスリーや!焼酎スリー水セブン。オッケー?」
『オッケェー 我が命にかえても』
「流行んねーからそれ!さっきから何か押してるけども!イラッとくるからそれ!!」
マジで?あたし人をイラつかせる天才なのかも。
「ゴホン…話元に戻すでェ。狂死郎はん、もう面倒やからぶっちゃけて話させてもらうけどな、オタクのツレケガ差しとーないんやったらワシらの要求飲めっちゅー話や…ってお前何飲んでんの!?」
『? 酒だけど』
「見りゃわかるわ!そうやなくて、なんでホストのお前が客のワシほっぽいて酒飲んでんねん!」
『飲みたかったから』
アホかァァァ!!と耳元で叫ばれた。死ぬかと思った。
「悪い話やないやろ、簡単や。いつものように甘いトークで女どもたぶらかして金おとさせたらエエねん、クスリ買わせてな。それでワシらこの店の用心棒がわりしたるしもうけもキッチリ7:3で分けたろーゆーてんねん。もうこないな事もなくなるし万々歳やないの」
「前にも言ったはずです。僕らはあなた達のような人達の力を借りるつもりはない。僕らは自分達の力だけでこの街で生きてきた。これからも変わるつもりはない」
「ほぅ。ほなツレがどーなっても…いっ!」
神楽は勝男の顔の前で火打ち石をする。そしてそれが勝男に当たった。ざまあとか思ってないよ!思ってないよ!
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