銀色ジャスティス | ナノ


▼ 僕が僕であるために

『2時17分、公務執行妨害で逮捕』


ガチャ、と三人に手錠をはめる。


「「「え、マジで?」」」


マジだよ。





第五十八訓
僕が僕であるために





「そりゃーないんじゃないの!?公務執行妨害って俺達が何したってよ?」

「うるせェェェ!!パレードの邪魔しただろーが!!」

「きけって。だからそれはさ、お通ちゃんに頼まれて」

「私達が自ら進んでお前らの手伝いなんかするわけないアル」


手伝いってあんなの邪魔以外の何モンでもなかったけどね。


「今度一日局長やる事になったから協力して欲しいってお通ちゃん個人に雇われたんです!」

「いい娘だよ、ありゃ。たった一日のために自腹で俺達雇ったんだから」

「その気持ちをお前らが踏みにじったアル!」

『アンタらが踏みにじったんだけどね』

「もういいからちょっとお通ちゃんに会わせて下さいよ!埒があかない!」

「そうだ、局長に会わせろコラ!今日一日はお前はただの無力なゴリラだろーが」

「無力なゴリラなんて存在しません〜。お前ゴリラの握力ハンパねーんだぞ!」


なんで近藤さんがゴリラの自慢してんの。アレか、自分をゴリラと認めたってことか。


『あれ…総悟、お通は?』

「それが…先程からとんと姿が見えやせんぜ。どこ行っちまったんだ…」

「察しろよ。女の子が黙っていなくなるといったらウンコ的なものに決まってるだろ。さらっと流せ。そんなんだからお前達はモテないんだ」


近藤さんがモテない理由がわかった。


「失礼なことを言うなっ!!お通ちゃんはオナラもしないしウンコもしない!!全部カワイイ卵で出てくるんだ!!うずらみたいな」

「それで純情が保たれたと思ってんの!?かえって卑猥だぞ!アイドルだってオナラもするしウンコもするんだよ。現実を直視して生きろ、バカ者!」

「じゃあアンタは姉上もオナラをするというのか!」

「当たり前だ!おれはそーいう所も受け止めている!ただしお妙さんの場合ピンクの煙が出てきます」

「現実見えてねーのはテメーだろ!!」

『何この会話気持ち悪い』


その時土方さんの携帯が鳴った。ザキからだったらしい。土方さんは忙しいと言って切った。


『ザキって確か連続婦女誘拐の方洗ってるんだよね。お通のサイン欲しがってたよ』

「心配いらねー、俺が書いておいた。それよりあの小娘どこ行ったんだ?」


お通に限って無断でどこかに行くなんて…。


「案外お通ちゃんも目離したスキにさらわれちまったんじゃないですかィ?」

『不思議とあの事件、真選組の管轄でばっか起きるんだよねぇ…』

「冗談じゃねーよ。俺達の目の前でんな事が起きたら今度こそ真選組はおしまいだ。小便かなんかだろ」

「近藤さんと変わりゃしねーや。だからアンタらモテねーんですよ」

「じゃあお前はなんだってんだ?」

「あの日でさァ」

「…今度合コンでもやるか」


これだから女心のわかってない野郎は…。


「副長ォォ いました!あそこ!!」


一人の隊士が指差したのはモニターだった。
そこにはお通を人質にした浪士の姿が。



〈諸君は本当に真選組がこの江戸の平和を護るに足る存在だと思うか!?否!!奴らは脆弱でただ税金を無駄に消費する怠け者である!〉



どうしよう、否定できない。



〈その証拠に我等は奴等の前から容易く一日局長を拉致することに成功した!ここに並ぶ少女たち、そしてこの寺門通が奴等の無能ぶりを示す何よりの証拠である!〉



お通の後ろには拉致されたたくさんの少女たち。



〈真選組はカスである!そしてこれを従える幕府もカスだ!この世界は腐り切っている!!それを我等で変えようではないか!〉

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