▼ ミイラ捕りがミイラに
「ほォ。桂と高杉がねェ」
「過激派だった桂の野郎も今ではすっかり穏健派になり変わり、とかく暴走しがちな攘夷浪士達をおさえるブレーキ役となっているとききます。バリバリの武闘派である高杉一派とぶつかり合うのは目に見えていました」
とある定食屋。
土方と山崎は紅桜の一件の事を話していた。けれど紅桜の事を知らない二人は高杉と桂が争ったという風に解釈をしている。
「両陣営とも被害は甚大な模様で、死者 行方不明者五十数名。あの人斬り似蔵も行方不明とか…。これでしばらく奴らも動けないでしょう」
「しかし解せねェ。岡田 河上ら猛者を擁する高杉に比べ、桂はロクな手駒を持っていなかったはず。一体どうやって高杉達と互角にはり合ったってんだ?」
カツ丼に気持ち悪いくらいマヨネーズをかける土方。ブチュブチュと音がなっている。山崎は口をおおって話しだした。
「それなんですがね、気になる情報が。桂側に妙な連中が助っ人についていたらしくてそいつが…妙なガキを二人連れたバカ強い白髪頭の侍と黒髪長髪の侍らしいんです」
土方の頭に浮かぶのは白髪頭の侍――銀時だ。
「……野郎か。確かあの野郎は以前池田屋の一件の時も桂と関わっている風だったがうまい事逃げられたんだったな」
「黒髪長髪の侍、ってのは……」
「…………」
土方の頭にも山崎の頭にも浮かぶのは仲間である風香で。
黒髪長髪といったら桂か風香しか思い当たらない。そしたら必然的に風香になるワケで。
「…洗うか」
「副長」
「
「これでもし旦那が攘夷活動に関わっていた場合は」
んなもん決まってるだろ、とタバコの煙を吐き言う。
「穏健派だろーが過激派だろーが俺達の敵には違いねェ。斬れ」
第五十四訓
ミイラ捕りがミイラに
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