▼ 災難は続け様に降り掛かる
『あらまぁ、アンタは人斬りさんじゃないの』
岡田似蔵。奴がここにいるということは、件の辻斬りはコイツの仕業だったってワケだ。
「銀さんも風香さんも…なんでここに!?」
「目的は違えどアイツに用があるのは一緒らしいよ、新八君」
「うれしいねェ。わざわざ俺に会いに来てくれたってわけだ」
『全く嬉しくないんだけど』
まァ会いに来たっていうのは事実なんだけれど。
「コイツは災いを呼ぶ妖刀ときいていたがね、どうやら強者を引き寄せるらしい。桂にアンタ、それに黒龍。こうも会いたい奴に会わせてくれるとは、俺にとっては吉兆を呼ぶ刀かもしれん」
『は?ヅラ?』
「桂さんをどうした、お前!!」
「おやおや、おたくらの知り合いだったかい。それはすまん事をした。俺もおニューの刀を手に入れてはしゃいでたものでね。ついつい斬っちまった」
「ヅラがてめーみてーなただの人殺しに負けるわけねーだろ」
「怒るなよ、悪かったと言っている。あ…そうだ。ホラ、せめて奴の形見だけでも返すよ」
似蔵が取り出したのは黒い髪を束ねたもの。恐らくヅラのものだろう。
オイオイ ウソだろ…。
「記念にとむしりとってきたんだがアンタらが持ってた方が奴も喜ぶだろう。しかし桂ってのは本当に男かィ?このなめらかな髪…まるで女のような…」
─ガキィィン
ぶつかり合う刀と木刀。
銀時が似蔵に斬りかかったのだ。
「何度も同じこと言わせんじゃねーよ。ヅラはてめーみてーなザコにやられるような奴じゃねーんだよ」
「クク…確かに俺なら敵うまいよ。奴を斬ったのは俺じゃない。俺はちょいと身体を貸しただけでね」
身体を貸した…?
斬ったのは自分じゃない…?
なんだそれ、どういう…。
「なァ…“紅桜”よ」
『「!!」』
第四十七訓
災難は続け様に降り掛かる
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