▼ 襟足の長さと子供の憎たらしさは比例する
早朝。きっといつものあたしじゃ考えられないくらいの早さだろう。
『よっこいせっと』
両手に抱えていた書類を地面に置き、一息つく。あー、重かった。
え?なんで書類を地面に置いたか?それはあたしがかぶき町に来ていて万事屋のゴミ置き場についたからだよ。
なんでそんなことをしたかっていうと、書類がウザくなってきたからかな。毎日毎日書類書類書類書類……ふざけんなって叫びたくなるわけさ。そんで総悟と相談して、さすがの土方さんも万事屋には近づかないだろうしましてや万事屋の横のゴミ置き場には行かないとふんでここに捨てにきたんだよ。
ホントは総悟が行く予定だったんだけど、いきなりジャンケン始めて負けたあたしが行くことになったのです。チクショー、年上を敬えコノヤロー。
「あれ、風香じゃねーか?」
『ん?あ、銀時じゃん。なに、どーしたのそんな両手にジャンプなんて抱えて』
「あー?見りゃわかんだろ。ジャンプ捨てにきたんだよ」
いや確かにここにきた時点で捨てることはわかってたけどさ。
「で?風香は何しに?」
『見りゃわかんでしょ。書類捨てにきたんだよ』
「いや書類はダメだろ!!」
『えー?』
だって主に総悟が破壊した建物の請求書とか請求書とか請求書とか請求書とか請求書とか請求書なんだもん。
「請求書ばっかじゃねーか」
『しょーがないじゃん。ほとんど総悟のなんだから』
「お前年下にいいように使われてんのかよ。ププッ だっせ…」
ドン!…ガラガラ…
「…………………」
『うっさいよ銀時。ここで命終わらせたくなきゃ黙っとけ』
ほとんど使わない愛用の拳銃を銀時の顔のスレスレに撃つ。銀時が冷や汗だらだらなのはアレだね、あたしの銃の腕がすごすぎて見とれちゃってるんだね。
『まーとにかく、書類は置いたしそろそろ帰るかー』
「んじゃ、俺もそうすっかなー」
その時だった!
「待たんかいィィィ!!」
ゴミ箱に扮したお登勢さんが銀時の背中に蹴りをはなったのは。
第十一訓
襟足の長さと子供の憎たらしさは比例する
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