▼ 男にはカエルに触れて一人前みたいな訳のわからないルールがある
所変わって和室。あたし達は近藤さんを囲むようにして会議をする。
ホシは廻天党≠ニ呼ばれる攘夷派浪士集団。ヅラ達とは別の組織だが、負けず劣らず過激な連中。
「今回のことは俺の責任だ。指揮系統から配置までの全ての面で甘かった。もっかい仕切り直しだ」
『そーだねー』
「あのガマが言ったこと聞いたかよ!あんな事言われてまだ奴を護るってのか!?」
土方さんの言葉とそれに賛成したあたしに反論するのは十番隊隊長の原田だ。
「野郎は
「副長、勝手ですがこの屋敷色々調べてみました。倉庫かれどっさり
ザキがそう言ってあたし達に見せるのは麻薬の入った袋。恐らく転生郷だろう。
「こんな奴を護れなんざ、俺達のいる幕府ってのは一体どうなって」
その言葉に、あたしは思わずハッと笑ってしまった。
だって、何を今更って思ったんだもん。今の幕府があたし達人間のために機能してないなんてこたァ、とっくにわかってたことでしょうに。
よっこいしょ、とあたしは立ち上がる。のと同時に土方さんも立ち上がった。マネすんなコラァみたいな目て見たら殴られた。痛かった。
「てめーらの剣は何のためにある?幕府護るためか?将軍護るためか?俺は違う」
覚えてるか、と土方さんは隊士達に問う。
「あの頃。学もねェ居場所もねェ剣しか能のないゴロツキの俺達をきったねー道場に迎え入れてくれたのは誰か」
あたしはその頃――土方さんや近藤さんが武州にいた頃の話はあまり知らない。
「廃刀令で剣を失い道場さえも失いながらそれでも俺達見捨てなかったのは誰か」
でも、どんなに苦しい生活でも、楽しかったんだってことは伝わってきた。
「失くした剣をもう一度とり戻してくれたのは誰か」
だってそれは、あたしも同じだから。
どんなに苦しい生活でも、銀時や先生がいたから耐えられた。楽しかった。
「…幕府でも将軍でもねェ。俺の大将はあの頃から
『大将が…近藤さんが護るっつったんなら仕方ないでしょ。あたしはそいつがどんな奴だろーと護るだけだよ。………今は、ね』
「気にくわねーってんなら帰れ。俺ァ止めねーよ」
そう言ってあたし達は部屋を出た。
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