銀色ジャスティス | ナノ


▼ コスプレするなら心まで飾れ

あたし達は海賊の格好をして春雨の入口で天人と交渉していた。ちなみにあたしは長い髪を後ろで束ね、胸はサラシでおさえてる。


「俺達も海賊になりてーんだよ〜。連れてってくれよ〜。な?風香、ヅラ」

『そーそー』

「ヅラじゃないキャプテンカツーラだ」

「俺達幼い頃から海賊になるのを夢見てたわんぱく坊主でさァ、失われた秘宝ワンパーク≠ニいうのを探してんだ!な?風香、ヅラ」

『そーそー』

「ヅラじゃないキャプテンカツーラだ」


ヅラもキャプテンカツーラもあんま変わんないだろうよ。


「知らねーよ、勝手にさがせ」

「んなこと言うなよ〜。俺 手がフックなんだよ。もう海賊かハンガーになるしかねーんだよ〜」

「しらねーよ。なんにでもなれるさ、お前なら。とにかく帰れ。ウチはそんなに甘い所じゃな…」


背を向けた天人の首筋に刀を三本突きつける。


「面接ぐらいうけさせてくれよォ」

『きちんと練習もしてきたんだよ』

「ホラ、履歴書もあるぞ」



***



転生郷はヅラに任せ、あたし達は新八と神楽の元に向かう。

何があったのかは知らないが、あたし達が到着したのは神楽が陀絡を蹴飛ばし海に身を投げるところだった。


「待てェェェ!!待て待て待て待て待て待て待てェェェ!!」


銀時が走り、それを受け止める。


「…いでで、傷口ひらいちゃったよ」

『あのォ、面接会場はここっスか?』

「こんにちは、坂田銀時です。キャプテン志望してます。趣味は糖分摂取、特技は目ェ開けたまま寝れることです」

『(あれ、これって本名出した方がいいの?いやダメだろ。じゃあどーしよ)……さ、坂田風香でーっす。副キャプテン志望。趣味は甘味屋巡り、特技はあんまやんないけどギャンブル』


銀時がギョッと目を見開いてる。しょ、しょうがないじゃんか!本名はダメだしだったら銀時近くにいるし坂田でいいじゃんって思ってさあ!


「銀さん、風香さん!!」

「てめェら、生きてやがったのか」


刹那、倉庫で爆発が起きた。


「俺の用は終わったぞ。あとはお前らの番だ、銀時 風香。好きに暴れるがいい、邪魔する奴は俺がのぞこう」

「てめェは…桂!!」

「違〜〜う!!俺はキャプテンカツーラだァァァ!!」


ヅラは持っていた爆弾を投げる。


『銀時、アンタは陀絡と決着つけな。ザコ共はあたしが倒すさ』

「ああ、任せたぜ」

『おうよ、任されたぜ』


ニッと笑ってその場をあとにする。


『さあ、かかってきな天人ザコ共。本物の地獄ってやつを見せてやるよ』


ワッと襲いかかってくる。哀れだなぁ。あたしの首はそう安くはないんだよ。


「てめーら終わったな、完全に春雨≠敵に回したぞ。今に宇宙中に散らばる春雨≠ェてめーらを殺しにくるだろう」

「知るかよ、終わんのはてめーだ。いいか…てめーらが宇宙のどこで何しよーとかまわねー。だがこの剣、こいつが届く範囲は俺の国だ」


二人は睨みあう。


「無粋に入ってきて俺のモンに触れる奴ァ、将軍だろーが宇宙海賊だろーが隕石だろーが、ブッた斬る!!」

「クク。オイてめっ…便所で手ェ洗わねーわりに、けっこうキレイじゃねーか…」


同時に駆け出し…銀時が勝った。



***



「アー、ダメっスねホント。フラフラして歩けない」

「日ぃ浴びすぎてクラクラするヨ。おんぶ」

『寝不足で頭痛い。抱っこ』


全てが終わり、天人も一掃したあたし達は港にいた。


「何甘えてんだ腐れガキども。誰が一番疲れてっかわかってんのか!二日酔いのうえに身体中ボロボロでも頑張ったんだよ、銀さん!」

「僕らなんて少しとはいえヤバイ薬かがされたんですからね!」

「つーか風香まで何言ってやがる!ガキじゃねーだろが!つきあってらんねー。俺先帰るからな」

『あっ 待ってよ!』


あたしは急いで銀時の後を追うが二人は来る気配はない。


「いい加減にしろよコラァァァ!!上等だ、おんぶでもなんでもしたらァ」


しびれを切らした銀時が叫ぶと勢いよく走ってくる二人。


「銀ちゃん、私ラーメン食べたくなってきたヨ」

「僕寿司でいいですよ」

『あたしは酒ね。鬼嫁だとなおよし』

「バカヤロー、誕生日以外にそんなもん食えると思うなよ!!つーか最後万事屋メンバーじゃねーし!!」


銀時は新八と神楽をおぶる。


「…ったくよ〜、重てーなチクショッ」




「フン。今度はせいぜいしっかりつかんでおくことだな」


ヅラが少し離れていた場所で呟いたその言葉はあたし達には届かなかった。







prev / next

[ back ]