▼ コスプレするなら心まで飾れ
「あ――?知らねーよ、こんな女」
「この店によく遊びに来てたゆーてたヨ」
「んなこと言われてもよォ、嬢ちゃん。地球人の顔なんて見分けつかねーんだよ…名前とかは?」
「えーと、ハ…ハム子」
「ウソつくんじゃねェ 明らかに今つけたろ!!そんな投げやりな名前つける親がいるか!!」
「忘れたけどなんかそんなん」
「オイぃぃぃ!!ホント捜す気あんのかァ!?」
あたし達はシャブに来ている。つーかマジダメだわ。屯所でおとなしく土方さんのマヨネーズにでもイタズラしてりゃよかった。頭痛い。ファンデーションで隈隠してきてよかった。
「銀さん、風香さん…神楽ちゃんに任せてたら永遠に仕事終わりませんよ」
『別にいーよ、あたし関係ないし。どーせどっかの男の家にでも転がりこんでんでしょ、あのハム娘…』
「アホらしくてやってられるかよ。ハム買って帰りゃあのオッさんもごまかせるだろ」
「ごまかせるわけねーだろ!アンタらどれだけハムでひっぱるつもりだ!!」
銀時は二日酔いで調子が悪いとかでトイレに行った。
『…新八ぃ』
「何ですか、風香さん?」
『徹夜明けで頭痛い。ちょ、あっちで水飲んでくる』
***
『あ゙ー…』
水を飲みフラフラ歩いていると男子トイレのまわりに大量の天人がウジャウジャいた。その中心には銀時とハム子が。あたしはすぐさま加勢に入る。
『銀時…何コレ?』
「連れションだよ、連れション。便器足んねーよ…」
『確かに足りないねェ…』
その時、ちゃちゃっと歩けと声がきこえた。振り返ると目が虚ろな新八と神楽が天人に連行されていた。
『新八!!神楽!!何…どーしたの!?』
「てめーらァァ!!何しやがった!!」
「お前、目障りだよ…」
リーダー的男…確か名は
『!銀時!!』
他の天人の相手をしていたあたしはそれに反応できずにいた。ギッと陀絡を睨み付ける。
「お前もあの男の仲間か?」
『…さあ?どうだろうね?』
「フッ 威勢のいい女だ。俺の許せないことを三つ教えてやろう」
『別にいいよ…興味ないし』
「一つ目は仕事の邪魔をする奴。
二つ目は便所に入っても手を洗わん奴。
三つ目は汚らしい天然パーマの奴だ」
『興味ないっつってんのに…。まあいいや、じゃあついでにあたしの嫌いな奴三つ教えてあげる』
椿を鞘から抜く。
『ひとーつ、あたし達から大事な人を奪った幕府!
ふたーつ、悪いことしてんのに知らんぷりして我が物顔で町を歩いている天人!
みーっつ、何も護ることができなかった無力なあたし』
陀絡と刃を交える。
だが。
「…、アンタ…実力出せてないな」
『っ!』
「消えな」
寝不足で一瞬フラついてしまったあたし。そのスキをついて陀絡が詰め寄り、銀時と同じようにあたしを窓から落とした。
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