▼ 血とか包帯って…なんかカッケー 憧れる
「うおらァァァ!田舎剣法ナメんなァァ!!」
木刀を振りかぶった瞬間、西野と戦っていた神楽が総悟の頭に激突する。ドゴッという音がし、総悟は「んごぉぉぉぉぉ!!」と悶絶する。相当痛いようだ。そりゃそうだよね、ドゴって音したもん。なのに何も言わない神楽どんだけ石頭なの。
「何してんだァてめーは。あんなのにやられるタマかィ、オイ」
「う…うるさいアル。なんか調子悪いネ。手がプラプラするネ」
「オイお前それ…反対に戻せばなおるんじゃ」
「ぎゃあああ!!」
『総悟お前なにしてんのォォォ!?』
「アレ?方向間違ったか」
『いやそういう問題じゃなくて!』
ボキッて音したけど!?西野に手折られてさらに総悟にも折られるとか不憫すぎる!
「このっ なにすんだクソガキぃぃぃ!!」
「うがァァァァァァ!!折れたァァァァァ!!ボキっつったァァァ!!」
『神楽までなにやってんのォォ!!』
神楽は腕を折られた腹いせに総悟の足を折った。なんで蹴りだけで骨折れるの。夜兎だから?夜兎だからなの?
「て…てめェ普通折れるまでやるか!?」
「やられたら倍返ししろって銀ちゃんに言われてるネ」
『時と場所を考えろォォ!!ここ敵陣!今あたし達仲間!バカかアンタら!!』
西野相手にあたし一人はさすがにキツイ。つか無理。岩一個持ち上げられるような馬鹿力のやつと戦いたくない。
「最早勝負あったな。仲間割れで勝機を逃すなど愚の骨頂。皿を渡せ」
「いやだネ!!」
『誰がテメーみたいなゴリラに皿渡すか!!』
「風香てめぇ相手怒らせてどーすんだ!襖ぶっ壊したぞ!ちょ、肩貸して俺歩けない!」
『うわわわわ!やばい殺される!?』
西野から逃げたはいいものの、完全にやられるよ。おこだもん。西野絶対おこだもん。
『…総悟』
「わーったよ。…向こうは任せた」
『当たり前。そっちは頼んだよ』
「やってやらァ」
西野とは反対方向から誰かの気配を感じた。微量な気配だったから相当な手練だろう。九兵衛か、はたまた他の誰かか。
総悟に合図を送り、あたしは敵のいる方にかけていった。
***
『…………』
「…………」
かけた先にいたのは、ちっこいじいさんだった。
「ほう、わしの気配を察知したのか」
『…アンタが大将?』
「そうじゃ」
『まじでか』
勘で言ったのに当たったよ。まじかよ。
『大将なのにそんな簡単に教えちゃっていいの?』
「いいんじゃよ、別に。ワシがお前さんを倒せばいい話じゃからな」
『そんなにヤワじゃねェさ』
近くの部屋でガシャァァァンとか音してるけど気にしない。ほァたァァァとかきこえるけど気にならない。
互いに距離を図ってる時だった。「あっ」とじいさんが声を上げたのは。
「……この勝負は持ち越しじゃ!」
『は!?ちょっ、』
話もロクにせずにじいさんは廊下を駆けて行った。戦いを途中放棄とか舐め腐ってんだろあのじいさん。
…まあいいや。早く総悟達と合流して敵の数減らさないとなー。
続く
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