銀色ジャスティス | ナノ


▼ 血とか包帯って…なんかカッケー 憧れる

「オイ!」

「アンタはこっちだ。真選組の鬼副長さん」


西野を止めようとする土方さんに声をかけたのは北大路だった。


「気づかぬとでも思ったか。市中で何度も見かけたわ。侍気どりの猿をひきつれたお山の大将さん。本物の侍がなんたるか、この北大路が教えてやろう」

「上等だ」

『土方さ…』

「おじょーさん」


気配は感じてた。だけど相手の方が早かった。あたしは南戸に後ろから抱きしめられた。


『!? !?』

「そんなキョドキョドしないでよ。君がかわいいからつい」

「おいやめろィ。風香は不意打ちに弱いんでィ」

「ほいじゃ、アンタらの相手は俺だね」

「無視…だと…!?」

「南戸粋だ。まァ二枚目同士仲良くやろうや。そうだなー…お嬢さんは、とりあえず一緒にお風呂に入ってその後びでぶっ!?」

『やめろっつってんだろ』


顔面を殴ってやったザマーミロ。
そのスキに奴の腕から逃げ出し、総悟の後ろに隠れる。


『総悟、アイツは任せた』

「いいんですかぃ?俺ァてっきり『コイツはあたしが仕留める』とか言うと思ってたんですが」

『じゃあ総悟アイツに抱きしめられてみ?気持ち悪くなるから』

「そりゃあ御免こうむらァ」


くくっと総悟は笑い、南戸と向かい合った。
奴はさっきの会話が聞こえていたのかいないのか。わからないけど、話をすすめてくる。


「どーだい兄ちゃん、俺達はツラへの攻撃はナシにしねーか?あんまりボコボコになるのもな。お互い泣く女がいるだろ」

「心配いらねーよ。あいにくアンタらセレブと違って俺達ゃ芋侍は女に縁がねェ」

「? そこにキレーなお嬢さんがいるだろ」

「コイツは女じゃねェ、メス豚だ」

『総悟テメェぶっ殺す』


竹刀に手をかけるが総悟に「ワリーワリー」と言われたので仕方なく許してあげることにした。なんて心が広いのでしょう。


「オイオイ…アンタのためを思って言ってんだぜ。そのカワイイツラ ズタズタにされたいの?もしかしてまぐれの不意打ちきまって調子乗ってる?おたくらマジで柳生うちに勝てると思ってんの?天下の柳生よ、柳生。おたくらの芋道場とか格が違うの、格が」

『総悟やっぱコイツあたしに殺らせろ』

「落ち着け」


羽交い締めにされた。
いやうん、わかってるんだよ?冷静にならなくちゃいけないって。でもさぁ…やっぱイラつくじゃん?殺りたくなっちゃうじゃん?


「わーったよ。じゃあツラ以外はムチャクチャにしていいんだなァ」

「オイオイそれじゃ俺達には勝てねーよ、皿割らねーとさ。俺の皿がどこにあるかわかる?おたく」


総悟はあたしから手を離すと一瞬で南戸の前まで行き、ドギャウ、という音を立てて南戸を木刀で殴り飛ばした。


「オイ、よくきけ。俺ァ皿割りに来たんじゃねェ。柳生てめーらの鼻ヘシ折りに来ただけだ」


そこからは総悟の一方的な攻撃のターンだった。反撃のスキすらない。

南戸は気付いただろう。


「はーん、なる程。首飾りの裏に隠してたわけかィ」


総悟はバカ強く、そして、


「ツラと皿だけは傷つけねーように、気をつけて殴らねーとな」


ドSだということに。

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