銀色ジャスティス | ナノ


▼ あたしと非番と万事屋と

『――っていう感じかな』

「風香さんが元攘夷志士!?銀さん達と共に攘夷戦争で戦っていただって!?」

「うるせーぞコノヤロー。黙っとけバカヤロー」


騒ぐとは思っていたけど、まさかこれ程とは。


「でも何で風香は真選組にいんだ?さっさと出てけばいいじゃねーか」

「俺と共にまた攘夷の道へ行こうではないか!」

「バッカお前、風香は万事屋で雇うに決まってんだろーが」

『どっちもお断りだよ』


何言ってんのコイツら。バカなのコイツら。


『省略するけど、なんやかんやあって近藤さんに命拾われて真選組やってんの。以上』

「なんやかんやって何アルか?」

『なんやかんやだよ』


「「「(答えになってねー!)」」」


銀時達は心の中でつっこんでいたらしい。


『銀時アンタさぁ』

「あー?」

『……苦労人体質は変わってないね』

「うっせ」


何でも一人で背負いこんでしまう銀時。今でもまだ"先生"のことを引きずっているのだろうか。


『ねェ銀時』

「あー?」

『あたしは銀時の右腕であり、アンタはあたしの右腕なんだからね』


忘れてんなよー、と頭を小突く。


『苦しかったら、相談してくれて構わないからね』

「いや、お前こそ相談すべきだろ」

『へ?』

「その通りだ」

『へ?』


何?どーゆー事?何で銀時の意見にヅラも賛成してんの意味わかんない。


「お前の方がなにかと抱え込むだろーが」

「心配かけるでない、風香」


コンッと二人に頭を小突かれる。


『…別に心配かけてるつもりないんだけど』

「「かけすぎだ」」

『え、マジ?』


そう聞けば二人は仲良く首を縦に振った。


「俺は部下から『日比野風香は真選組に拉致られた』ときいたから慌てたんだぞ」

『んなワケねーだろ』

「嘘だったのか…!くっ…!」


いや「くっ…!」じゃねーよ。


「銀ちゃん、もう夕方アル」

「マジか。じゃあ風香、もう帰れ」

『はいはい、帰りますよーっと』


荷物を確認し、万事屋を後にする。


『ヅラが来るとは思わなかったけど、楽しかったな』


この幸せな時間は、土方さんからかかってきた電話で急変することになるのは、また別のお話。





<風香ァ!!仕事だ早く帰ってこいィィィ!!>


今日は非番のはずなのにな。理不尽だ。そう言うとウチの副長サマは逆切れするので黙って通話を切った。







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