▼ 火曜7時は坂田家を食卓で
いってええええ!!ゴリラ腕力ハンパねェな!マジなんなん!?ゴリラってこんな腕力強いの!?
王女に殴られたあたし達はある部屋まで吹っ飛ばされた。
『いだだだだ!ちょ、降りろお前ら!銀時重い!降りろカス!!』
「カス!?カスってなんだ!?てゆーかお前ら!アレなんとかしろよ!お前らのペットなんだろ!」
「違う!!実はアレ王女!!」
『オージョじゃないよ王女だよ!重要だかんねココ。テストに出るかんねココ』
人の視線を感じた。そこにはお妙と昨晩の少年がいた。
「アレ!?お妙さん!」
「アレ何コレ。なんかマズイトコ入ってきた?」
『お妙?こんな所でなにやって…?』
「…みんな」
こちらを見るお妙。そして、
「さようなら」
涙を浮かべ、そう言った。
***
ただならぬ雰囲気の中、銀時はお妙に事情を聞こうとした。だができなかった。部屋に王女が乗り込んできたのだ。
そうして騒いでいる間にお妙は連れさらわれてしまった。
近藤さんと一緒に屯所に戻ったあたしは、私服に着替え外に出た。
『あれ、近藤さん?』
「あ、風香ちゃん」
雨だった。
雨だというのに、傘もささずにどこに出かけようというのだろうか。まああたしも傘さしてないし、行く先は同じだろうからとやかく言う必要はないんだけど。
『あの少年さ、柳生家の人だったね』
「ああ、そうだな」
柳生家。
それはかつては将軍家の指南役をおおせつかっていた程の名家だ。天人が来てから剣術は零落する一方だってのに未だその華麗なる技を学ぶために門を叩く者も多いんだとか。
これの時期当初たるが柳生九兵衛。小柄でガキみたいなツラした奴で…まあ言っちゃえばついさっき会った奴なんだけど…とんでもない神速の剣の使い手で柳生家始まって以来の天才と呼ばれてるんだとか。
あたしは、しょせん坊ちゃんが習う道場剣法なんだから実戦じゃあたし達の方が上だと思ってたんだけど…どうにも田舎剣法じゃシティー剣法にはかなわないらしい。
剣も色恋も…幼なじみの許嫁ときちゃあ近藤さんの出る幕はない。
屯所を出る前、銀時から電話がかかってきた。お妙が家に帰ってないと。おそらく花嫁修業だろうと。
新八の家の道場も援助してくれるんだとか。まあなんせ相手は柳生家だからね。玉の輿だね。
…ただ、一つ気になるのが、お妙が泣いたこと。
もしそれがお妙自身が選んだものなのだとしたら、彼女は笑うだろう。
けれど彼女は泣いていた。明確な理由はわからない。ただ一つわかるのは、お妙があたし達に何か隠し事をしているということだけだ。
そして、考え事をしているうちに目的地に到着した。
階段の下で新八に会ったので、三人で行くことにした。
「なんだい君達は?」
「入門希望者?あのォ 悪いけどここ柳生家だからさァ。けっこう由緒正しい家柄じゃないとちょっと…」
「それとも何。道場破りとかいわないよね、まさか。やめといた方がいいよ。今ウチさァ 柳生四天王っていう猛者がいて…」
『いやいやまさか。道場破りなんてそんな物騒な』
にっこり。そんな効果音がつきそうな笑みを一つ浮かべると、あたし達は門番らしき男二人を蹴り飛ばした。
そして集まってくる門下生達。うひゃー、ホントに門下生多いな。さすが柳生家ってとこかな。
くせものだとかここを柳生家としっての狼藉かだとか言われてるけど気にしない。ちなみに柳生家だなんてことは知ってるよ。ここに来るのが目的だったわけだし。
かぶっていた笠を脱ぎ捨て、名前を叫ぶ。
「我は天堂無心流 恒道館道場が当主 志村新八!!」
「そして俺はその門下
『同じく門下の日比野風香』
「天下の柳生流に決闘を申しこまんと参上つかまっつた!」
『柳生流の看板なんかに興味はないけれど…』
「姉上を返せェェェ!!」
「お妙さんを返せェェェ!!」
『お妙のこと、返してもらおうか』
襲いかかってきた連中を木刀で一気になぎ伏せる。
「賊めェェ!!」
「斬れェェ!たった三人だ!!囲んで斬り捨ててしまええ!!」
そう敵が言った時、後ろから音が聞こえた。アレだ、人が殴られる音。
「わりーな、三人じゃねェ」
そう言った男の声には、聞き覚えがあった。
「新八ぃ、今日から俺らも門下だ。なんだっけ?天然パーマ流?」
「銀さん!!神楽ちゃん!!」
「お前ら!!」
集まったのは、銀時、神楽、土方さん、総悟だった。
続く
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