銀色ジャスティス | ナノ


▼ 火曜7時は坂田家を食卓で

なぜゴリラまでついてくるのかはわからない。しかもなんかあたし超睨まれてるし!人殺せそうな目つきしてんですけど!

そんな時だった。後ろからものすごい音がしたのは。

急いで後ろを振り向くとそこにはなぜか倒れているゴリラが。


『王女ォォォォォ!?』

「なんでェェ!?上から瓦がァァァァ!!」

「あっ スイマセン。手ェすべっちゃって」

「あっ ゴリラが二匹と風香が一匹」


瓦を落としたのは銀時だったらしい。なんで奴がここにいるのかは大体見当がつく。仕事だろう。
てゆーかあたしが一匹ってなに。

ゴリラが起き上がる。頭には大きなコブが一つ。
やばいよ、完全にキレちゃってるよ。


「オイオイ何やってんだお前らこんな所で」

「女にモテないからってついにゴリラと交際スタートアルか」

「いいすぎだぞ神楽。冗談でもいっていい事と悪い事があんだろ。弟さんかなんかだよ」


言えない。近藤さんがゴリラとお見合いしてましたなんて死んでも言えない。


「オ…オイオイ冗談よしてくれよ〜。コレペットだよ、ペットォ」

『(ペットとして扱うのか!?通じるのかそれで!?)』

「ペット?マジでか。こんなデケーの飼ってんだ」

『(通じたよ!!)』

「ペットショップで哀しげな目でこっち見てたからついな…」


こんなこと言えるのって王女に言葉が通じてないからなんだよね。


「よーしよーし。これ食べな」

『ちょちょちょ!何勝手に食べさせてんの!?』

「豆パンの豆アル」

「豆パンの豆!?お前王女に何食わしてんの!!」

「王女って何よ?」

『(近藤さんのバカ!!)名前だよ名前。オージョって名前なの』

「(ナイスフォロー風香ちゃん!!)とにかくさァ、あのウチのオージョちゃんは今おなか一杯…ホラ吐き出した!!お願いだからもうやめて。あの…」

「食いもの粗末にすんじゃねェェ!!」

『ちょっとォォォォ!!』


豆を吐き出した王女を殴る銀時。
やめて!王女だから!ゴリラだけど王女だから!!


「ちょっともうホントやめてっ!」

「ダメだよ〜、お前。幾らかわいくても怒る時は怒らにゃ」

「わかったから!ちゃんと躾するから!もう離して!!」


ダメだ、これ以上ここにいたら王女になにされるかわかったもんじゃない。
それを考えていたのは近藤さんも同じらしく、散歩の途中だからとこの場を離れることにした。そして歩きだしたら――どこからかウ●コが出てきた。いや、正確には近藤さんの裾の中から、だが。


「今お前の袴の裾から転がり出てこなかった?」

「一回蹴ったよ。ワントラップいれたアル」

「オージョォォ!!どこでもウンコすんじゃねーって言ったろーが!!」


自分が漏らしたことを隠蔽するために近藤さんは王女を池に落とした。
え?蹴った?王女蹴った?


「ホントっしょーがねーな!どこでもウンコたれてねこの子はもうまいってんの!てんてこまいなの!」

「いやお前から出てきたってアレ」

「ちょっとちょっと坂田君〜、いい加減にしてよ〜。俺年幾つだと思ってんのォ。もうすぐ三十路よォォ!んなワケないじゃん!!」

「オイ三十路。ミソの路できてんぞ」

「!! 違げーよコレ!コレはアレ!!道に迷わないようビスケットを目印に置いてきたの!!」

「もう迷ってるだろ、人生という名の迷路に」


近藤さんの袴の裾からはウ●コが転がり落ちていた。
もう言い訳できないでしょ。無理でしょ。

なんて思っていると王女が池から出てきて、あたし達を殴った。

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