▼ そういう時は黙って赤飯
『え?何?近藤さんにお見合い?よかったじゃん』
「すまいるに行くぞ、風香」
『なんで名指し?いやだよめんどくさい』
「近藤さんのお見合い相手なんだがな」
『え?無視?』
「コレなんだ」
『よしわかったすまいるに行こう。今すぐ行こう。お妙を説得しに行こう』
「話が早くて助かる」
見廻りから帰ってきて言われた言葉が近藤さんお見合いのことだった。正直お妙が可哀想だったし、お見合いすれば近藤さんも妻を持てるわけだからいいかな、なんて思った。でもアレだ、スケールが違った。
お見合い写真に写っていたのは、モノホンのゴリラだったのだ。
さすがに近藤さんが不憫すぎる。そしてそのゴリラを姐さんと呼ばなければならなくなるあたし達も可哀想すぎる。
「明日がそのお見合いなんだが…風香にもついていてほしい」
『はァ!?いやだよめんどくさい!』
「行ってくれるかさすが風香。話がわかる」
『言ってないけど!?』
なんてやり取りをしている内にすまいるに着いた。
時刻はもう夕刻を過ぎていた。
扉を開けると聞こえる歓声。どうせアレだろ、近藤さんじゃなくて土方さんが来たから嬉しいんだろ。そして顔だけは整ってる土方さんの隣にいる女が邪魔なんだろ。
「キャアアアア!土方はん!土方はんやわ!」
「今日はあの
「キャアアア!こっちの席にきて、土方はん!」
「あれ、隣にいるのってもしかして風香はんやあらへん?」
「ほんまや!いつも
意外に人気でした。
お妙を指名して、席に移動した。
「どーいう風の吹き回しですか?最近
『ドンペリひと「焼酎水割りで」』
「真選組の皆さんは豪気な方が多いですね。税金使ってキャバクラ遊びですか」
「俺だって来たくて来たんじゃねーってんだよ」
『ドンペリふた「焼酎水割りで」』
ドンペリを頼みたかったのに遮られる。仕方なしに焼酎水割りを飲むあたしは偉いと思う。そしてドンペリを頼ませてくれなかった土方さんと取っ組み合いになるのはしょうがないと思う。
「で?近藤さんは知ってるの?」
「あ?」
「私達がこういう関係にあるって」
「こういう関係ってどういう関係だよ」
「まったく…モテるというのも困ったものね。上司と部下で一人の女をとりあいなんてまるで昼ドラだわ」
「オイ何勝手に話進めてんだ。俺はだな…」
『近藤さん以外お妙のことを好きになる人なんてそうそう現れないと思ギブギブギブギブ!嘘です嘘ですごめんなさいアイアンクローはキツい!!』
「でも私はそんな安い女じゃないの。月9みたいな恋愛じゃないとお断りよ」
「違うっつってんだよ。俺はだな」
「でもあなたどう見ても日テレ顔ですよね。土曜9時にマヨラー探偵とかイロモン系ですよね」
「誰がマヨたんだ。まァ俺はいい。だが近藤さんはどうだ。月9顔じゃねーか。何回目のプロポーズ顔じゃねーか」
「近藤さんは火サスに出てくる死体顔です」
そこでお妙はこっちの意図に気づいたようだった。
「土方さん 風香さん…まさかアナタ達近藤さんのためにここに…」
「「「お妙さァァァん!!」」」
そんな時だ。一緒にすまいるに来たザキ達がお妙の言葉を遮ったのは。……つかザキ達連れてくんならあたし必要なくないか?余計な飛び火食らうの嫌なんだけど。
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