銀色ジャスティス | ナノ


▼ んまい棒は意外とお腹いっぱいになる

うまく真選組を撒いたあたし達は屋根の上を歩く。てかあたし真選組なんだけどなー…。


『つーかヅラあんた何やってんの?』

「ヅラじゃない桂だ。何って見ての通りだが」

『取材?指名手配犯が何やってんの?』


バカなの?死ぬの?


「…本当にあなた達は敵どうしなんですか?それにしては親しくありませんか?」

『ありません。ふざけたこと抜かしてっとブチ殺すぞ』

「え?今ブチ殺すって言いました?」

『言ってません』


これ以上この話題に踏み込むことは得策ではないと考えたのか、花野アナは話題を変えた。


「なんとか逃げられましたね」

「まァこれが朝のウォーミングアップといったところか」

「なかなか壮絶な朝ですね。まさに攘夷志士といったカンジで…。あの…桂さん、屋根からは降りられないんですか?」

「下りん。俺くらいになると普通に往来を歩いているだけでスグに感づかれてしまうのでな」

『ヅラ、あんたって変装の名人なんじゃなかったっけ?全く通用してないってことだよねそれ』

「見ろ」

『無視かよ死ねよ』

「そこかしこに屋根の上を歩く者がいるだろう。アレは大体攘夷志士だ。おーい、グッモーニング」


「………」


『完全無視だけど。明らかにただの大工だけど』

「ハッハッハッ 五作の奴め、さてはまた女房とケンカしたな〜」



***



「遅くなったな、スマン」

「「「桂さん、おはようございます!」」」


着いた先はボロい建物。中にはんまい棒を食べてる攘夷志士が――ってこれもしかしてもしかしなくても穏健派の住処?


「今日はキャメラが来てるんだけれども気にしなくていいから。モザイクかけるから」

「桂さんこれは?」

「攘夷志士同士の情報交換場といったところか。こうして活動の成果を報告しあう」

『ふーん』

「つまり我々攘夷浪士の活動を端的に言えば、こういった情報を交換しあう事がほとんどと言っていい。方々を駆け回り集めた様々な情報…まァ主に宇宙情勢 幕府の機密などだが、これを交換しあい徐々にその交換の場を高みにもっていく。つまり身分の高い者と意見を交わしあい説得しやがては国を内側から変える」


なるほどね。あとで土方さんに報告しとこーっと。

そう考えていたら襖が勢いよく開いた。真選組がやってきたのだ。


「んまい棒 鎖羅魅サラミ!!」

「桂さんんんんん!!またですかァァ!!」

「というカンジで毎回会議は終わる」

「これも予定通り!?桂さん一体一日何回襲撃されてんですか!!」

『てゆーかなんであたしのこと抱えてんの!?離せよヅラ!!』

「ヅラじゃない桂だ。何故か毎回俺が会議所に到着した途端奴等が現れる。おかげでロクに情報交換もできん。まったく迷惑な連中だ」

『お前が一番迷惑だわァァァ!!明らかにアンタがつけられてんでしょーよそれ!朝の連中をそのまま引きつれて来てんだよそれ!!』

「五作ぅぅぅ!!スグ逃げろォォ!奴等が来たぞォォ!」

『アレ五作じゃないっつってんだろーが!!』


またしても逃げたあたし達。屋根の上を歩く。


「なんとか逃げられましたね。…私なんかスゴク疲れました」

「これからが本番だぞ。次は実際に重要人物と会い説得するところを見せよう」

「重要人物!?誰ですかそれは」

「俺達になくてはならん男だ」

『あー…なんか大体予想つく』

prev / next

[ back ]