銀色ジャスティス | ナノ


▼ 花屋とかケーキ屋の娘に男は弱い

「すみませーん、おじゃましまーす。先日仕事の依頼を頼んだ者なんですが。すいませーん」


依頼人が中に入ってくる。


「オイオイ。ノックもなしにズカズカ人んち入りこんでくるたァ随分と不躾なお客さんだ」

『インターホン押してたでしょ』

「何の用だィ?万事屋グラちゃんたァ俺のことアル」


銀時の着流しを身にまとい鼻をほじり椅子に座る神楽はようやく依頼人の方を向いた。


「……何の用って…あの…先日浮気調査の件でこちらに依頼をした川崎ですけれども」

「あー ハイハイきいてるぜ。ぱっつぁんお茶出してやりなさい」

「神楽ちゃん、お客さんの前でその態度はないよ。ほとんど顔見えないし」

「うるせーな。なんかこんなカンジだろーがアイツは」

『銀時のことだからお客さんにはちゃんと対応するんじゃないの?』

「ハイハイ風香の言う通り〜」


何こいつウザいんだけど。


「で…浮気調査の件なんですけど…御主人に浮気をしている疑いがあると」

「そうなの。間違いないのよ。最近毎晩帰ってくるの遅いし着物から女物の香水の匂いがするのよ」

「奥さん、それだけの証拠じゃ浮気とは断定できないアルナ〜。多いんですヨ〜、被害妄想というか悲劇のヒロイン気取りというのが〜。奥さんのような輩がね。思い込みじゃないアルかネ」

「ちょっとちょっと」

「ぱっつぁん、どうにも俺ァ気乗りしねーアル。パフェ食いにいっていいかィ」

「何言ってんの!?ちょっと!!銀さんっぽいけれども何言ってんの!?」


これ銀時っぽいの?銀時こんななの?マジで?ちょ、ほんとこれマダオじゃん。お客さんの前でこんな態度とってるなんてマダオ以外の何物でもないよ。
そしてこんな態度をとっていれば当然依頼人はキレるワケで。


「ちょっとぉ!!昨日電話で引き受けてくれたじゃないの!話が違うわよ!」

「気にくわねーんだヨ、子供達の前で平気で父ちゃんの悪口言うなんざ。アンタにとっちゃロクでもない旦那でも、こいつらにとっちゃ大事な父ちゃんアルぜ」

「そ…それは…」


依頼人…川崎さんは口ごもる。

銀時だ!!ちっこい銀時だ!!


「私だって子供達をこんな所に連れてきたくなかった!でも浮気の事問い質してもあの人黙ってるだけで…私我慢できなくなって飛び出して…。別れる覚悟はできてるの!でもあの人浮気のことも離婚のことも認めてくれなくて!!証拠が欲しいの!!あの人が浮気してるって確実な証拠が!!そうすれば…」

「悪いが御免こうむるアルぜ。こいつらから父ちゃんを奪う証拠を見つけるなんざ俺達にゃできねーアル。さっ 行くアルぜ、ぱっつぁん。風香は銀ちゃんの看病を頼むアル」

「え?どこに」



「変わらぬ愛の証拠を見つけにさ」



『「グラさんんんんん!!」』

「あっ…ありがとうございます!!よろしくお願いします!!」


椅子から立ち上がった神楽はそのまま玄関に向かう。そして振り返らずにそう言った。
やっべー神楽がかっこよく見える!銀時の着流しをズルズル引きずってるけどそんなの関係ないよね!

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