▼ 花屋とかケーキ屋の娘に男は弱い
『前に先生が言ってたよ、バカは風邪ひかないって。なのになんで?』
万事屋に着いたあたしは銀時の前でハァ、とあからさまにため息をつく。
でもちゃっかりおかゆ作ってるあたり、あたしも銀時に甘いんだろうなぁ。
「……なんでお前万事屋にいんの」
『どっかの誰かさんがあたしの料理食べたいなんて言ったから、優しい幼馴染みがわざわざ仕事抜けて来てあげたんだよ』
「!? は、なんでそれ知って…!?」
『電話で新八から聞きましたー。…ったく、体調管理くらいしなよね』
「はいはい。わるーございました」
返事を適当にする銀時の傍らで、神楽はマスクかっこいいだのなんだの言ってた。しまいにはラスト一枚の冷えピタを貼る始末だ。
『ほら、銀時おかゆだよ。お食べ』
「お食べってどっかのジ●リ作品思い出すからやめて。あと食欲ないからいらねェ」
『いや食えよ。あたしが仕事抜けて来てあげたんだから無理矢理でも食え』
「スイマセン食欲ないって言ってるのにきいてくれないんですけどこの幼馴染み」
「食べないと治りませんよ。食べて汗かいて寝る。それが一番カゼにきくんです」
『なんで
スパーンと神楽の頭を叩く。
「風香、なんか私も具合悪くなってきたような気がするアル。どうしヨ、マスクしておかゆ食べないとダメかなコレ。ダメだぞコレ」
『ウソつくんじゃないの』
おかゆ全部食べただろーが。
「んだヨ〜、銀ちゃんばっかズルイアル。風香のつくったおかゆ食べてマスクしてちょっとしたパーティアル。私もカゼひきたいネ」
『いやだからアンタ全部食べたでしょうが』
「バカだろお前。カゼをひけ。頭がカゼをひけ」
「カゼひいたからってあんま調子ゆ乗んなよ天パ。私だってその気になればいつでもインフルエンザに蝕まれるネ。なめんなヨ」
「バカだよ。やっぱコイツバカだ」
─ピンポーン
インターホンが鳴った。どうやら仕事の依頼らしい。
起き上がろうとする銀時を再び布団に寝かせる。
「おわ…っ」
『病人は寝てろ。40度も熱あるんでしょ』
「仕事断るワケにもいかねーだろ。この寒い中カゼひかねーバカ共に任せちゃおけねーってんだよ」
『だったらあたしがやるよ。人助けならお手のモンだから』
「……そうだな。じゃあ今回は風香に任せ…「コラ」」
神楽か銀時の言葉を遮った。
「待つアル。誰がバカだって?」
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