銀色ジャスティス | ナノ


▼ 嫌なことは何度でも起こる

『はーっ やっと着いた』


大江戸スーパーまで無事にたどり着いたあたしはお目当ての物が売ってあるところまで歩みを進めた。
お、あったあった。業務用マヨネーズ。
業務用マヨネーズ(30本)をカゴに入れる。ああ重い。

レジに並び、マヨネーズを台に載せると店員さんは一瞬ギョッとしていたがあたしの顔を見ると、なんだ真選組の副長さんのパシリね、みたいな顔をした。オイ、パシリってなんだ。
ありがとうございました、というお決まりの台詞を背にスーパーを出る。そして帰り道に…


『…アレ?』


帰り道…ここ帰り道違う。てゆーかなんでこんなとこ着いたの?薄暗い港なんですけどここ。いやだ恐い。
早く帰らないと土方さんに殺される、なんてことを思いながら帰り道を探していると数人の男の声がした。どうやら何かを話しているらしい。なんの話してんだ?


「おい、ここで何して…」

『ぎゃあああああ!!』

「ぶべらァ!!」


後ろから肩を叩かれたので思わず殴ってしまった。
だって!急にポンって!!びっくりだよ!!


「なんだ!?」

「おいどうした!」

「うお!?オイ遠山が倒れてるぞ!」

「やったのは貴様か、女!」


仲間来たー!?
…ってコイツら攘夷浪士じゃないの。なんだ、じゃあさっきの話し合いは真選組屯所をどう襲おうかの作戦会議的なヤツだったのか。それか近藤さんをどう暗殺するか。いやどっちもやらせないけど。


『あー…真選組だぞー。神妙にお縄につけー』

「棒読みすぎぃぃ!」

「ってコイツ真選組紅一点 日比野風香じゃねぇか!?」

「なんでこの場所かバレたんだ!?」


たまたまです。


「…まァいいさ。俺達のモットーはなァ、」

「“殺られる前にヤってやる”だ!」


『…ホント、今日運悪すぎだわ』


サボってんのが見つかったり。
説教食らったり。
罪なすりつけられたり。
たんこぶができる程の強さで殴られたり。
穴に落ちたり。
ガキにバカにされたり。
クレープ食べれなかったり。
虫に追いかけられたり。
鼻打ったり。
定春に轢かれたり。
人質にとられたり。

そして何より…、


『お前らに会ったことが今日一番の不幸だコノヤロー!!』

「ぐはぁ!」


マヨネーズで殴った。
そして正気に返り気づく。


『あっ ヤベ。マヨネーズが…』


その後、土方さんに怒られたのは言うまでもない。







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