銀色ジャスティス | ナノ


▼ 喧嘩はグーでやるべし

屋根の上に座り、銀時と土方さんの戦いを見学する。いやほんとなんで好き好んで二人の戦い見なきゃいけないのさ。土方さんってアレだよ?あたしにとってただの上司であって銀時よりは価値のない人だよ?
確かに銀時は強い。負けはきっとないだろう。でももしもの事があったら…!



「――ゴリラだろーがなァ、真選組オレたちにとっちゃ大事な大将なんだよ。こいつ一本で一緒に真選組つくりあげてきた俺の戦友なんだよ。誰にも俺達の真選組は汚させねぇ。その道を遮るものがあるならばこいつで……叩き斬るのみよォォ!!」



『! …ヘェ』


聞こえてきた土方さんの声は近藤さんについていくという"覚悟"が表れているような気がした。

土方さんは刀を振り下ろすが避けられる。銀時は土方さんを蹴飛ばし――だがそれも土方さんの策略だったようで銀時は肩を斬られた。


『…!』


刀を持ち応援に入ろうとするあたしを総悟は止める。


「まーまー落ち着いて。男同士の対決に水をさしちゃいけませんぜ」

『、でも!』


ちらりと銀時の方を見るとなぜか目があった。そして口パクで「心配すんな」。
しぶしぶあたしは屋根に座り直した。……屋根って以外と安定感あるんだね、初めて知った。

そして数十分が過ぎついに決着がついた。勝ったのは土方さんの刀を斬った銀時だった。あーあ、あの刀もう使い物にならないね。

「…フフ、面白ェ人だ。俺も一戦交えたくなりましたぜ」

「やめとけ。お前でもキツいぞ、総悟」


ついさっき来た近藤さんが言う。


「アイツは目の前で刃を合わせていても全然別のところで勝手に戦ってるよーな男なんだよ。勝ちも負けも浄も不浄も越えたところでな」


「ワリぃ近藤さん、俺も負けちまったよ」


風に乗ってそんな台詞がきこえた気がした。ゴロと屋根に寝転がる土方さんの表情はどこかスッキリしていた。







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