銀色ジャスティス | ナノ


▼ もの食べるときクチャクチャ音をたてない

木刀がスーツケースに刺さり、それが勝男に渡ることはなかった。


「!! なっ…なんやァァァ!?」

『んなうす汚い連中に金なんざくれてやるこたァないよ』

「そいつは大事にとっとけ。母ちゃんにうまいモンの一つでも食わせてやりな」


ライトを背に立つあたしと銀時。
……勝男に金が渡る前にここにたどり着けてよかった。まだ心臓バクバクいってるよ。


「!! お…お前らはァァァ!」


そして鉄柱を吊り下げたクレーン車が建物のなかに入ってくる。クレーン車を運転しているのは新八だ。鉄柱はいい感じに勝男達のところに突っ込んでいく。ナイス新八。


「なんちゅー無茶しよる連中や、どっちがヤクザかわからんで…。オイそこまでにしときィ、このオバはん『このおばさんはもらったよラビュー』」

「のおおおおお!!」


敵を倒してしたあたしだったが、おばさんのピンチに気づき急いで救出に向かった。鉄柱に紐をくくりつけ、それにあたしも入る。ほら、鉄柱の勢いで素早くおばさんを救出できるでしょ?
おばさんを取り戻したのはいいが、おばさんの足に勝男がくっついてきた。


「ネェちゃん…なめとったらあかんどォ!お登勢ババアの回し者やなんやしらんがこの街でわしら溝鼠組に逆ろうと生きていける思うとんのか、ボケコラカス!!」

『ちょっとしつこいんだけど。マジいい加減にしてくんない?』

「ちょ、蹴るな蹴るな!いででで……あ、白」

『…………』

「ちょお!顔面やで!今ネェちゃんが蹴ってるとこ鼻やで!」

『何この人。人のパンツ見て鼻血なんか垂らして。いやらしい』

「理不尽!!」


叫ぶ勝男。「言っとくがなァ、次郎長親分敵に回したら…」という勝男の言葉を遮り顔面にオナラをかけるおばさん。効果はバツグンだ!


「(むがァァァァァァァ!!クリーンヒットやァァ!!アカン…めまいが…このババア何食っとんねん!!手ェ離したらアカン。たえろ…たえ…)」


落ちそうになる勝男。必死にたえ、おばさんの足を離さないようにする。
そして、赤面するおばさん。


「何頬赤らめとんねん!」

『後は頼んだよ、銀時』

「溝鼠だか二十日鼠だかしらねーけどな、溝ん中でも必死に泥かきわけて生きてる鼠を邪魔すんじゃねェェ!!」


鉄柱がくるであろう地点にはすでに銀時が待ち構えていて。銀時は木刀を振るう。そして丁度勝男に当たる。勝男は壁に突っ込んだ。

あたしは器用にも紐を外す。そしておばさんを狂死郎に渡した。


「「「兄貴ィィィ!!」」」

「おんどりゃああ!!」


あたし達を睨むヤクザを止めたのは起き上がった勝男だった。


「ほっときほっとき。これでこの件から手ェ引いてもオジキに言い訳立つわ。溝鼠にも溝鼠のルールがあるゆーこっちゃ。わしは借りた恩は必ず返す。7借りたら3返す」

「あにっ…」

「ついでにやられた借りもな。3借りたら7ゃ。覚えとき、兄ちゃん 姉ちゃん」

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