銀色ジャスティス | ナノ


▼ もの食べるときクチャクチャ音をたてない

「ちょっともう痛い!痛いしうるさい!なんで火打ち石?さっきからガツンガツン当たっとんねん。ライターないんか。ほなコレ使って」

「いやいいですプレゼントとか…重たい。何か付き合ってみたいな」

「お前にあげたちゃうちゅーねん!ソレ使って火ィつけて言うてんの!!」


神楽はライターを火打ち石ではさみ壊した。


「火打ち石とコラボレーションすな!!お前何さらしてくれとんねん。高かったんやでコレ」

『ププッ どんまい』

「心にも無いこと言うなや!!」


狂死郎さん!!と八郎が叫んだ。


「オラに構うことはない!こんな奴らの言いなりになるな!!泥水すすって顔まで変えてそれでもオラ達自分達の足で歩いていこうって、この街で生きていこうって決めたじゃないか!!」

「ええ度胸やないかァ。ほなこの街で生きてくゆーんがどんだけ恐いか教えたる」


勝男は立ち上がり八郎を床に叩きつけた。そして手を踏みつけ短剣を取り出し言った。


「エンコヅメゆーのしっとるか?ワシらヤクザはケジメつける時指おとすんや。とりわけ溝鼠組ウチらの掟は厳しいで〜。指全部や」

「やめろっ!!」


狂死郎は叫び近づこうとするが下っ端に捕まっているため動くことができない。


「今さら遅いで。お前らとワシらじゃ覚悟がちゃうちゅーこと思いしれやァァ!!」

『ねェアンタらさァ、切腹って知ってる?』

「俺達侍はなァ ケジメつける時腹切んだよ。痛そうだから俺はやんないけど」


刀を振り下ろす瞬間、銀時は勝男の腕をつかんだ。バキ、ゴキ、と嫌な音が鳴り刀が手から落ちる。


「…お前ら、誰やねん」

「何しとんじゃーワレェェェ!!」


「ドンペルィィィニョ3本入りまぁーす!!」


「はーい!」


新八がドンペリを3本投げる。うち2本はあたしが手にとった。ドンペリを受け取ると、近づいていた2人のヤクザの顔面にそれを投げつける。
もう1本を銀時がとり、勝男に振りおろそうとした瞬間――勝男はくわえていた串を銀時に向ける。


「そううまくはいかんで、世の中」


そんな時だった、場違いな音楽が流れてきたのは。ピルルルルと鳴っていた。どうやら勝男のメールの着信音らしい。


「ん…メール……あ゙あ゙あ゙あ゙!!メルちゃんがァァァ!!ワシのいぬ間にママになってしまいよったァァ!!」

「あ、産まれたんですかついに。おめでとうございます」

「おめでとうであるかァ ボケェ!!こうしちゃおれん、スグ引き上げるでェ!!」

「「「へい!」」」

「お前ら覚えときィ!次合う時はこんなモンやすまへんからな!」


散々店を騒がせておきながら、メルちゃんがどーとかで店から出ていった。店員は皆安堵のため息をこぼす。


「あ…ありがとうございました、皆さん。助かりましたァ」

『まったく…手間かけさせないでよね。お母さんの目の前で息子死なせるワケにはいかないでしょ』

「母ちゃん?」

「とぼけんじゃねーよ。どうして隠してたかしらねーがもういいだろ。名乗り出てやれや、あのババアによー」

「いや、何を言っているのかよく…」

『いい加減にしてよ。おばさんがどんだけアンタのこと心配したと思ってんの』

「え?…いやでもオラの母さんもう死んでるし」

『……死んでるってなに。アレでしょ、僕の中では死にました的なアレでしょ』

「死にました、一年前に。ちなみにオラ、息子じゃなくてこう見えても元娘です。オナベですから、オラ。八郎は源氏名。本名は花子です」


………え?八郎は娘でオナベで花子なの?

立ち尽くすあたし達に声をかけたのは神楽だった。


「銀ちゃん 風香、大変アル!!おばちゃんが……どこ捜してもいないアル!!」

『トイレとかは捜したの?』

「捜したネ!でもいなかったアル!ひょっとして連中にさらわれてしまったのかも…!」


「!! 母ちゃんが!!」


声をあげたのは狂死郎だった。


『「「え」」』

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