銀色ジャスティス | ナノ


▼ どこの母ちゃんも大体同じ

「アニキ、おりましたわ。コイツが八郎です」

「ほーかィ。ほな早くこっち連れてきてェ。店に迷惑かかるやん」


『(あれは…)』


アニキと呼ばれた男。そいつは顔に大きな傷をおい髪を七三分けにしていた。奴はおそらく溝鼠組の黒駒の勝男。
そして部下らしき男は八郎の足をつかみ頭をテーブルにぶつけさせた。ああああ痛い。アレ絶対痛い。

勝男は気にしないで続けてどーぞと言っていたがあんな騒ぎがあったあとだ、恐怖を抱かないわけがない。客は悲鳴を上げながら店を出ていってしまった。


「アララ、みんな逃げてもうた。すんまへん狂死郎はん。営業妨害で訴えんといてな」

「…胴元さん、またあなたですか。八郎を離して下さい。もう嫌がらせは止めて下さい」

「ちゃうねんちゃうねん。今日はあの件ちゃうねんって狂死郎はん。ホンマワシもこないな事で出張るの正直しんどいんやで。今ウチのダックスフンド産気づいてまんねん。立ち合いたいねん出産に。ホンマガキの喧嘩に顔つっこんでる暇ないんやで、オッさん」

「ガキの喧嘩?」

「おたくの用心棒はん昼間なんや往来でガキしばき回しとったやろ。アカンでそんな乱暴な事したら。ホンマきょうびのホストはヤクザより恐いわ〜」

「アレはウチの若いモンです。バカやらかしたんでケジメつけただけの事。おたくには関係ない」

「それが大アリやねん。のう勘七君」

「勘吉です」


勝男の後ろから出てきたのは、昼間あたし達がしばいたチャラ男の一人だった。


「実はこの勘吉くんウチのオジキの親戚やねん。ほなこっちはこっちでケジメつけないう話や〜。正直しんどいわ〜」

「溝鼠組の親分の?そんな話は…」

「そらしらんわ。親戚ゆーてもものごっつ遠いから。なんや親戚の親戚の親戚の親戚ゆーて」

「言いがかりはよして下さい」

「言いがかりちゃうよ。のう、勘八君」

「ハ…ハイ。親戚の親戚の親戚です」

「親戚1個足りひんやんんん!!」



─ドゴッ!!



勘吉はあたし達が隠れていたテーブルにぶつかって気絶した。


「アカン。オジキの親戚の親戚の親戚の親戚の親戚蹴ってもうた」

「アニキ、親戚1個多いです」

「まァええわ。要するに人類皆たどれば母なる海から生まれた親戚ゆーこっちゃ」


「銀さん 風香さんヤバいよ八郎さんが…何ですかあの連中?」

『アレは恐らく溝鼠組の黒駒の勝男』

「かぶき町四天王の一人侠客 泥水次郎長んトコの若頭だ。アブネー奴とはきいていたが、また厄介な奴と何モメてやがる?」

「ヤクよ、ヤク」

「うわっ!」


オロナミンCを片手に神楽が現れる。そしてホストが言っていたということを話し始めた。


「溝鼠組の連中、自分達が持ち込んだヤクをこのクラブでさばけと何度も店に来てたみたいヨ。それを狂死郎が断ってから嫌がらせしに来るようになったって」

「風香、お前警察だろ。捕まえろよ」

『いやうんあのね…警察手帳と手錠、屯所に忘れてきちゃった』

「なんでだよ!」

『てへぺ…いだっ!殴んなよ銀時!!』

「…ったく次から次に手のかかる息子だぜ。なぁ母ちゃんよ」

『え、無視?…アレ、おばさんいなくね?』


おばさんがいないことに気づいたあたし達。周りを見渡してもいなくて前を向くと……勝男達の所にいた。


「ちょっとォォォォ!!何やってんのォォ!!」


いやアンタが何やってんのォォ!?


「血だらけじゃないのちょっとォォォ!どうしたのコレェェ!!」

「なんや?このオバはん」

「ちょっとォォォ!コレっ…あのっ…ちょっとォォォ!!」

「何回言うねん」

「確かに柿ピーとお酒は合うけれどもォォ!食べ過ぎちゃダメって…」

「ピーナッツの食い過ぎでこない血ィ出るワケないやろ!!」

「柿とピーナッツは6:4の割合でイケと言ったじゃないのォォ!!」


駆け寄ろうとする新八と神楽を制し、銀時が更衣室を差した。……成程、そーいうことか。一人で納得したあたしはしぶる二人の背中を押し更衣室の中に入った。


「オイオバはんええ加減にしいや。どっからわいて出たんやしらんけどワシら遊びに来たんちゃうねん。ナメとったらアカンど…。
柿とピーナッツの割合は7:3に決まっとるやろーがァァ!!世の中の事は全てコレ7:3でピッチリうまく分けられるよーなっとんじゃ!!7:3が宇宙万物根元の黄金比じゃボケコラカスぅ!!」

「7:3ってそれ柿ピーじゃなくて柿の種食いたいだけじゃろーが!!テメーは一生猿カニ合戦読んでろボケコラクズぅ!!」

「アホか!!この比率が柿とピーナッツ双方を引き立たせる黄金比なんじゃ!!ボケコラブスゥ!!」

「テメーはその黄金比という言葉に酔ってるだけで考える事を放棄しただ明日を死んだように生きていけボケコラナスぅ!!」

「上等や、オバはん。今夜は朝まで柿ピー生討論や」

「白黒ハッキリつけようじゃないのさ」

「アニキ、ワシら何しに来たんですか?」

「酒持ってこんかい!!なんやこの店、ホストクラブのくせに接客もようせんのか?」


更衣室まで騒動が聞こえるってどーいうことだよ。ガシャァァン!って音聞こえたし。多分勝男がテーブルでも蹴飛ばしたんだろうな。
そんな怯えさせちゃダメでしょうに。

あたし達はスーツを来て勝男達の前に現れた。


『今宵はホストクラブ高天原へよーこそいらっしゃいました』


「当クラブトップ4ホストの一人 シンです」

「ギンです。ジャストドゥーイット」

「グラだぜ、フゥー」

『フウでーっす、ラビュー』





続く

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