▼ どこの母ちゃんも大体同じ
街に聞き込みに来たはいいものの、姿は見えないし情報は集まらないしで手いっぱいだわ。
あたしと銀時は整形外科で話を聞いていた。
『銀時、やっぱり彼は…』
「ああ…十中八九間違いねェな」
ハァ、とため息を吐くと新八と神楽が銀時の名前を呼びながら走ってきた。どうやら二人ともダメだったらしい。
新八はあたし達の近くにある非合法の闇医者の看板を見て顔をしかめる。
「まさか」
「あちこち情報屋あたってもアタリがねーんで視点かえてみた。どーやら孝行者の息子は親からもらったツラ二、三度変えてるな」
「整形ですか!?なんでそんな」
『しかもここだけじゃなくてあちこちで顔いじりまわしてるみたい。もう写真はアテになんないよ』
「顔コロコロ変えるなんてまるで犯罪者アルナ〜」
「…銀さん、この件はあんまり深くつっこまない方がいいかもしれませんね。これ以上何かしっても…八郎さんもなんか嫌がりそうだし、お母さんも何も知らない方がいいかも…」
「そいつァ俺達が決めるこっちゃねェ。とにもかくにもまず孝行息子見つけてからの話だ」
『でも写真は使えないでしょ?どうやって?』
「整形っつったって骨格まではなかなか変わんねーだろ」
そう言って銀時は写真に落書きをする。オイこれ借りた写真だぞ。
「整形美人なんてみんな似たツラしてるじゃねーか。予想くらいつくだろう…こんなカンジだろう」
『ちょっと何やってんの。整形じゃないでしょ。それただのヅラじゃないの』
「私“ビューティーコロシアム”毎週見てたネ。やらしてヨ」
「おいィィ!教科書の写真じゃねーんだよ!」
『神楽違う違う。コレはここをこうするんだよ』
「ちょっ、お前コレはないよ。どーすんのコレ。修復できねーよ」
『こっからこうカバーすればいいじゃん』
「アレッ これちょっといくね?オイ」
「ああ…そうですね。いそう、コレ。お台場あたりにけっこう」
完成したのは巨大アフロとそれに繋がる鼻毛がある男。
「いねェェェェェよ!!どこにもいねェェよ!!いても外出てこれねェェよ!」
「いやいるよ、ネバーランドあたりにけっこう」
「ネバーランドねェェよ!あったとしても外出てこれねェェよ!つーかなァ、お前らコレ整形じゃねーんだよ!毛しか描いてねーじゃねーか!!」
『えー、でも上手くない?』
「上手くないです!やめだ!やめだ!やっぱやめよう!こんな仕事どうせこんな…」
すると携帯の音が近くで聞こえてきた。音のした方を向くとそこには、
「オス、オラ八郎。あ、ハイ。今からお迎えに参りますんで」
白いスーツを着て頭から携帯を取り出す写真通りの男の姿。
いっ…いたァァァァァァァァ!!
「マッ…マジでかァァ!?いっ いたぞオイぃぃ!!」
「どどどどーすればいいの!何をすればいいの僕達!?」
『おちついて!とりあえずおばさん呼んできて!!』
「お母…!アレ…何やってんの。アレ…」
なぜかギャルとメンチ切り合ってた。
何やってんだあの人ォォォ!!
「アレは俺と風香がなんとかすっからお前ら八郎を追え!」
「うす!!」
そう言って二人と別れ、あたし達はおばさんの所へ向かった。
「ちょ、何このババアマジムカつくんですけどォ。メッチャ見てるんですけどウチらのこと。何この間空いありえなくね?ウチら人として見られてなくね?つーかキモくね?」
「救急車ぁぁぁぁ!!」
「ちょ、何呼んでんの!?ありえなくね!?何ちょっ 何やってんの!?」
「誰かァァァァ!救急車を早くぅ!!この人達顔色が土色の上吐き気を訴えていますぅぅ!!」
「てめーがキモいって言ったんだよババア!ちょ、マジムカつくんだけど!」
マジで何やってんの!!
あたしは急いでおばさんの手を引いた。
「母ちゃん早くこっち来い」
『悪いね。田舎者だから許してやって』
「ちょっ、ダメよ銀さん 風香さん。あの娘達の顔見て!アレ、父ちゃんが死んだ時と同じ顔色よ!」
「ああ、アレな。こえだめから生まれてきたんだアレ」
「それどーいう意味だコルァ!!」
『そーいう意味だよ。ちょ、忙しいからこえだめに帰って』
そんな時に現れたのはチャラチャラした男二人。
「ちょっとちょっと何ィ何ィ?お咲ちゃんモメ事〜イェ〜」
「勘吉さん!なんかァ〜 このダセー親子が私らに絡んできて〜」
「オイオイ何この三人はおのぼりさん?イェ〜。
どこの山奥から来たのか知らないけどさ、あんま俺の街で調子こいてっと殺すよマジで」
おばさんが勘吉を見てあたし達に耳打ちしてきた。
「アレ、あの人足短い」
「ファッションだコラァァァァ!!」
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