銀色ジャスティス | ナノ


▼ 僕が僕であるために

「うーす。カレー届けにきました」

「なんだお前?」

「バイトでマスコットやってまして。もーまいりましたよ、こんな事にまきこまれて」

「その女は?」

『まこっちゃんの付き添い人でーす』

「ちょっと今いいとこだからあっちいっててくんない。カレーその辺においといて」

『「この辺スか」』


二人の門番の顔面にカレーをぶちまける。
そして、何か嫌な予感がしたあたしは急いで階段を駆け上がる。



「よっしゃ。来い」



そこには上着を脱ぎ、何か決意を決めたような近藤さんがいた。
どーいうことだ。なにが…。



「お通ちゃん!すまなんだ!!色々手伝ってもらってなんだが、結局俺達はこーいう連中です!もがいてみたがなんにも変われなんだ!相も変わらずバカで粗野で嫌われ者のムサイ連中です!どうやらコイツは一朝一夕でとれるムサさではないらしい!
だがね、お通ちゃんの言う通り、もがいて自分達を見つめ直して気付いたこともある!

俺達はどんだけ人に嫌われようがどんだけ笑われようがかまやしない!ただ、護るべきものも護れんふがいない男にだけは、絶対になりたくないんだとね!」



それが近藤さんの本心なんだと、目が物語っていた。

隊士達は剣を抜く。
…………待って、風香さんついていけない。なんで剣抜くの!?



「剣を抜けェェ お前ら!!たとえ俺の屍を越えても護らなきゃならねーモンがお前達にはあるはずだ!さあかかって来やがれ!」



あれ!?近藤さんの同意の上なの!?なんでこんな状況になってんの!?
……まあいいや。まこっちゃんとあたしは女の子達を小声で呼び外に逃げるよう促す。



「局長ォォォォ!!」



そして見つかってしまった。


「あ゙ーーー!!」

「何をしている貴様ァァァ!!」

「よく見ると女は真選組ではないか!」

「あー、やっちゃったな〜オイ。やっちゃったよ〜」

『ありゃ、バレちゃった』


天狗党の連中がこっちに気をとられているスキにザキはお通を救出する。
そう、ザキは女装していたのだ。よくバレなかったよな。あ、地味だからかそうか。


「あー、カツラは頭がかゆくなっていけねーや。お通ちゃん、後でサインくださいね」


異菩寺の下にはバズーカを構えている真選組。


「さよ〜ならーめん替え玉」

「うっ…」



─ドォン!!


「「「うごわァァァァ!!」」」



***



翌日。
公園のベンチで一人の男が新聞を呼んでいた。男はヘッドフォンをしていた。その新聞には昨日の事件のことが載っていた。


「なかなか…ロックな連中でござる。晋助…拙者らの野望も容易には果たせぬぞ、これは」


男の携帯が鳴る。ヘッドフォンを外し電話に出た。


「ハイハイ つんぽですけど。あ、お通殿。何何?いい詩が浮かんだ?そりゃあ奇遇。拙者もいい曲が」


男の見ている新聞には誠ちゃんや風香と写っている笑顔のお通の写真が。


「ちとヘビーだが」







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