銀色ジャスティス | ナノ


▼ 一日局長に気を付けろッテンマイヤーさん

「いいかァァー!今回の特別警戒の目的は、正月でたるみきった江戸市民にテロの警戒を呼びかけると共に諸君もしっての通り最近急落してきた我等真選組の信用を回復することにある!!」


あたし達は公園に集められた。
銅像の前に立つ近藤さんとお通ちゃんを前に整列する。


「こうしてアイドルの寺門通ちゃんに一日局長をやってもらうことになったのもひとえにイメージアップのためだ!
いいかァ お前らくれぐれも今日は暴れるなよ!そしてお通ちゃん…いや、局長を敬い人心をとらえる術を習え!」


「ひゃっほォォォ!本物のお通ちゃんだァァ!!」

「サイン!サインくれェェ!」

「真選組には華やかさが足りないと前から思ってたんでさァ」

『オイコラ誰だ今言ったの』


「バカヤロォォォォ!!」


近藤さんはサインくれ!と迫ってきた隊士を殴る。


「これから市民に浮かれんなという時にてめーらが浮かれてどーすんだ。あくまで江戸を護る事を忘れるな」

『おお、近藤さんいい事言うじゃん』

「すいません局長。私の教育が行き届かないばかりに…みんな浮かれてしまって」

「いえ」

『その背中のサインですべてが台無しだよ!』


お通ちゃんに謝る近藤さん。その背中にはでかでかと“おつう”とサインがかかれていた。
近藤さんは蹴られる。

どうやら近藤さんは命続く限りそれを一生背負っていくらしい。もう勝手にしてくれ。


「いや〜、すっかり士気があがっちまって」

「士気あがってんじゃねーよ!!舞いあがってるんだよ」

『おつ…寺門さん、コレが今日のスケジュール』

「ありがとう。……あなた、日比野風香さんって言ったよね」

『うん?そだけど』

「寺門さんなんて堅苦しい呼び方はやめてお通って呼んで!私も風香って呼ぶから。女の子同士、仲良くしよっ」

『ん、わかった。よろしく、お通』


ニコッと笑って手を出す。


「まァ アンタは何もしないで笑って立っててくれりゃいいから」

「…あのォ、私やるからには半端な仕事は嫌なの。どんな仕事でも全力でとりくめって父ちゃんに言われてるんだ」

「いや…でも」

「例え一日でも局長の務めを立派に果たそうと思って真選組のイメージ改善のために何ができるか色々考えて来たんだ」

「いやいいって。アンタはいるだけでいいから」

「ちょっとあなた達いい加減にしてよ!」


土方さんの言葉を無視してお通はバカ騒ぎしている連中を怒った。


「そんな喧嘩ばかりしてるからあなた達は評判が悪いの!なんでも暴力で解決するなんてサイテーだよ!
もう今日は暴力禁止!その腰の刀も外して!」

「オイオイ、小娘がすっかり親玉気どりか?そいつらはそんじょそこらの奴に指揮れる連中じゃねーんだよ」

『今回は土方さんの意見に賛成かなー。それに武器なしで取締りなんてできるワケないし。刀は武士の魂…』



「「「すいませんでした、局長ォォ!!」」」



転職でもしようかな。

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