銀色ジャスティス | ナノ


▼ サンタなんていねーんだよって言い張る奴こそホントはいるって信じたいんだよ

「なんか…」

「違くね?」


ガラガラと音を立てて夜の江戸の街をリアカーで走る。
リアカーを引くのは全身黒タイツのトナカイのおっさん(ベンというらしい)。赤服を着ていたおっさんは黒い頭巾を鼻に巻き黒い服を着ていた。

リアカーの中で座っていたあたしと銀時はそこから会話に入る。


「いや いいよ、シックなカンジで。やっぱ締まって見えるよ、黒は。落ちついた印象を受ける。そして何故だかソワソワする。ちゃんと戸締まりしなきゃっていう。何故か」

『これはこれは…逮捕しなくちゃ。現行犯逮捕だね』

「それ泥棒に見えてんじゃねーかよ!!」

「アレだよ。お前 ちょいワル親父だよ、最近流行りの。片足泥つっこんでる位の方が今の時代ちょいモテ親父だよ」

「ちょいワルじゃないよコレは!片足どころか全身泥につかってるよ!泥だらけの棒だよ!!」


武蔵っぽい人はおっさんが着ていたサンタの服を奪っていた。


「なんか勝手に着てっしよ!!ちょっ マジ返して下さい!お願いしますよ!」

「この冬は赤でキメるんじゃああ!!」

「もうキマってるって!そんなん着なくてもアンタもう完全にキマっちゃってるからさァ〜!!」


とりあえず貧しい人が多い区域からいくことになった。


「ヤバイよコレ。誰かに見つかったら一発でアウトだよ。即通報だよ」

「なんで悪いことしてるワケでもないのにこんなにドキドキしなきゃならねーんだ」

『安心しなよ、ホントに悪いことしたら逮捕するから』

「逆に安心できねーよ!」


お前らの格好を見ろ、格好を。泥棒にしか見えないから。


『で?どの子からプレゼント配ってくの?』

「XBOXとかそーいうの期待してるずうずうしい奴はナシ。けん玉とかそーいう大人の事情をわかってる奴」

『アンタらホントに夢を与える資格あんの?』

「今時そんな素朴な…。あ、いたぞ。月島百合ちゃん。今時珍し…」


ほしい物→けん玉と優しかった母さん。


『「「「…………」」」』

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