銀色ジャスティス | ナノ


▼ サンタなんていねーんだよって言い張る奴こそホントはいるって信じたいんだよ

「…ったくいい加減にしなさいよ、こんな夜中にさァ。ご近所の迷惑も考えなさいよ」

『そーそー。何があったのか知らないけどさ』

「いや、アンタらにボコボコにされたんだけど」

「つーかおたくら誰?」

『酒は人間関係を円滑にするための潤滑油ってかの徳川家康も言ってたような気がしたけど気のせいだわ』


痴話喧嘩らしき事をしていた二人とあたし達は屋台に来ていた。やっぱアレだね、寒い日はおでんに限るね。


「オイ親父、熱燗三本。あとオデン適当に。お代はこのヒゲがもつから」

「へい」

「ヒゲって誰。まさか俺?」

「へい」

「もう剃っちまうかな〜、こんなヒゲ」


勝手に剃ってればいいじゃん。


「で、何?なんであんな喧嘩してたの?つーかおたくら何?」

「え?」

『アレじゃない?運送業やってる方』

「いや…え?けっこう丸出しじゃ」


オッサンの装備
・赤い服
・赤い帽子
・白ヒゲ
・デカい袋


「あの…規則であんまはっきり言えないんだけど、ソリに乗って子供達に夢を届ける…」

「義賊っぽいカンジ?」

「そーそーそー、そーいうカンジ。それで『サ』がつくアレ」

『サタン?』

「惜しい!!けど遠い!意味合い的には!!」


え?惜しいけど遠いの?


「フフッ 旦那、余計な口挟んですいやせんが俺はもうわかりましたよ。ホラ、あれですよ。ヒントは股の間にぶらさがってる…」

「違うから!!何そのヒント?一体どんな答えに結びつくわけ!?」

「まァまァいいや。サンコンでもサンタでも」

「いや今一回言ったよ。今一回正解言ったよ」

『つーかアレだよね。サンタってアレ不法侵入だよね』

「言った!今確実にサンタって言った!」


要するに、夜中にあのソリに乗って子供達に何かするおっさんでしょ。


「旦那、余計な口挟むようですが俺はもうわかりやしたよ。ホラ、この方達はソリに乗って通り過ぎざまに恥部を露出するあの方達ですよ」

「違ェェって言ってんだろ!お前何!?ダンディな顔して頭ん中そればっかか!!」


おっさんは酒を煽って話す。


「プレゼント!プレゼントだよ。ソリに乗ってよい子のみんなにね、プレゼントを配るのが仕事なわけ。でもそのソリがさァ大破しちゃってさ、どーにもこーにも」

『ソリなんてなくても仕事くらいできるでしょ』

「ダメなんだよ!ソリ トナカイ 赤い服は俺の三種の神器なの!イメージ壊したくないの!伝説になりたいの!」

「トナカイってコレただの化け物じゃねーか」

「あ゙ん!?」

「何だかよくわかんねーけど困ってんなら力になろーか?」


銀時は名刺を取り出す。


「俺ァこういうモンで、頼まれればなんでもやる万事屋ってのをやってる。払うもん払えば力になるぜ」

「ああ!?なにができるってんだよ」

「今スグ ソリを用意できるってのか!?」

「お安い御用だ」


銀時は立ち上がるとどこからかリアカーを持ってきた。


「よし、乗れ」

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