銀色ジャスティス | ナノ


▼ 鍋は人生の縮図である

(side.土方)

今現在最も鍋将軍に近い存在は奇しくも風香だ。
まだ鍋に手をつけていないとはいえ、アレを食べ終わった後にごく自然に橋を鍋につける権利を有している…。





(side.沖田)

…だがアレは気にする必要はねェ。あの顔は恐らく白滝の新食感にとらわれている…。
二十代とはいえ一応女である風香は肉のような脂肪分の多いものより白滝食ってる方がカッコイイとか思ってそうだ。なんせ風香だから。バカだから。

問題は土方あのおとこだ。





(side.土方)

『あっ カトケン紅白また出てる。去年で消えるかと思ったけどHGにキャラ変えてまた人気出たよねー』

「でもアレだよな。紅白に出場する事も最早歌手にとってステータスじゃなくなってるよな」


鍋に箸をのばす。


──とった!


「!!」

「アレ、火弱くなってませんかィ?」


箸が刺さったのは鍋ではなく、白飯だった。





(side.沖田)

土方さん残念でしたね。

鍋将軍は…俺っ…


「!!」


箸が飛んできた。

まさか、あの一瞬で…!?





(side.土方)

いけェェェェェェェ!!



『ヘブシッ』



風香が鍋に向かってくしゃみをした。


『あっ ゴメン。あたしカゼひいちゃったかも』





(side.土方 沖田)

なっ…なにィィィィィィィィ!?





(side.沖田)

手も箸も使わずに…くしゃみで…第一手を決めただと?

こんな先手の決め方が…


あっただとォォ!?





(side.土方)

いや…事実こんな鍋はもう食べる気がしない。もうこの鍋はコイツしか食べられなくなった。


無邪気…

無垢なる心が導いた勝利だとでも…。


いや…この女…。



『ふふっ』




(side.風香)

ふふっ

鍋将軍はあたしだよ。





(side.土方 沖田)

この女…無垢なんかじゃねェ!





(side.風香)

ふふっ 今頃気づいたの?遅すぎるよ。

腹を鳴らすところから始まり白滝に夢中になるところまで全てがあたしの芝居…。

アンタらを油断させ鍋将軍になるための布石だったということに…。


そこで指をくわえて見ているがいい!

アンタらの愛する牛肉が蹂躙される様をね!!

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