銀色ジャスティス | ナノ


▼ 鍋は人生の縮図である

(side.沖田)

……マズイな。
事態の沈静化をはかるためあえて土方さんの案に乗りやしたがまさか風香まで乗ってくるとは…。

この状況で鍋再開を切り出すのは至難の業でィ。恐らく恥ずかしくて穴が存在したら入りたい気分にかられるだろう。
だがこのままこの状況を放置すれば確実に鍋は終わる。まだ始まってもいねェのに…。それだけは阻止しなければ…。

誰か切り出せ。俺は肉が食いたいんだ。もうメッチャ食いたいんだ。察しろ。土方、お前が言うんだ。頼む、仕事少しやるから。





(side.土方)

誰か察してくれ。俺は肉が食いたいんだ。本当は肉なんて食いに行ってねェんだ。
みんな同じはずだ。みんな本当は心は一つのはずだ。





(side.風香)

ぐう〜、とお腹が鳴った。だが無視する。


「オイ風香、何お前?腹減ってんのか?」

『減ってないよ、屁だから』

「いや、今のは腹の音でした。間違いありやせん。何?そんなに腹減ってんですかィ?」

「そんなにアレならやっぱりやるか?俺は別にどっちでもいいがどーする?」

「風香、無理しない方がいいですぜ。俺もどっちでもいいですが」

『…すいてるけどいいよ。酒あるから』


「「バッキャロォォォォォ!!」」


「育ち盛りがんなモンばっか飲んでメシ食わねーとどーなると思ってんだァァ!!」

『育ち盛りって…あたしもう二十歳過ぎてんだけど』

「ホラッ 俺がよそってあげるから食いなせェ」

『でも…』

「いいから黙って食え。殺すぞ」


総悟から渡された白滝をしゃくしゃくと食べる。


「…しゃーねーな、じゃっ 食うか。別に俺は食いたくねーけど。メンドくせーな、オイ」

「別に俺は食べたくないんですけどね。腐らせるのも勿体ないですからねィ」





(side.土方)

…なんとか切り抜けたか。
だが依然として肉に手が出しづらい状況にあることは変わりねェ…。スキヤキを一度否定したことによって鍋に手をつけることさえ難しい空気ができてしまっている。

スキヤキ、焼肉、しゃぶしゃぶ…。
これら一つのものを大勢で囲む場合…第一…つまり最初に手をつけることに気まずさが伴われる。





(side.沖田)

…よってこの気まずさを吹き払い、周囲に一切の違和感を与えず自然に先手を切った者に鍋を支配する権利が与えられる。





(side.土方 沖田)

つまりそれこそが鍋将軍!!

この勝負、第一手を制した者が勝つ!!

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