▼ 闇夜の虫は光に集う
長い事闇の中にあると目玉には映らん微かな光でさえ拾えるようになる。
そいつが人間の放つものだとしったのはいつだったか。
線香花火のように人間もまた消えゆく時、一際大きく美しい花を咲かす。
だが稀にコイツを生きながら背に負う輩がいる。
その光なひどく不安定で…攻撃的で、そして哀しい色を帯びていた。
しってかしらずか、その光にひかれ人が集まる。そう、まるで蛾のように。
だが一度あの光を見て、もう闇の中に戻ることは俺にもできなかった。
俺も立派な蛾だ。再び篝火を失う事を恐れる蛾。
そして激しく燃える篝火に飲まれまいと必死に抗う蛾。篝火を指針にま舞う蛾。どこもかしこも蛾だらけだ…。
だが虫ケラに混ざって妙なのが一匹、コイツは蛾なんかじゃない。
ひどくわかりづらいが確かに微かに光が見える。
そう、例えるなら刀。
鞘から抜き放たれた鋼の刃。
鋭く光る、銀色だ。
…だが、どうしてかな。
どうにもこいつの色は、気に入らねェッ!!
第五十二訓
闇夜の虫は光に集う
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