▼ バカとワルは高い所がお好き
「ぬぐぐ…!」
「よォ、お楽しみのところ失礼するぜ。お前のお客さんだ」
暗い倉庫の中で似蔵は息を切らせていた。
そんな時に扉の前で煙管を蒸すのは高杉だった。
「色々派手にやってくれたらしいな。おかげで幕府とやり合う前に面倒な連中とやり合わなきゃならねーようだ」
高杉は吸っていた煙を吐く。
「…桂、殺ったらしいな。おまけに銀時ともやり合ったとか。わざわざ村田まで使って。で?立派なデータはとれたのかぃ。村田もさぞお喜びだろう。奴は自分の剣を強くすることしか考えてねーからな」
「……アンタはどうなんだい。昔の同志が簡単にやられちまって、黒龍にはフラれちまって。哀しんでいるのか、それとも…」
─ガキィィン
「ほォ…」
振りおろした高杉の刀を似蔵の紅桜と化した腕が止める。
高杉は感心したように声をもらした。
「随分と立派な腕が生えたじゃねーか。仲良くやってるようで安心したよ。文字通り一心同体ってやつか」
さっさと片づけてこいと言い刀をしまう。
「アレ全部潰してきたら今回の件は不問にしてやらァ。どの道連中とはいずれこうなっていただろうしな。
…………それから、二度と俺達を同志なんて呼び方するんじゃねェ。そんな甘っちょろいモンじゃねーんだよ、俺達は」
似蔵を睨みつけ、高杉は倉庫から出た。
「次言ったら
――……今のは、本気で斬るつもりだったね。
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