銀色ジャスティス | ナノ


▼ 傘の置き忘れに注意

頬を引っ張られて数分。真面目にヒリヒリしてきたなぁと思ったら放された。めちゃくちゃ痛いんだけど。


『で?紅桜って一体なんなの?』

「俺が知ってると思うのか?」

『アンタ、似蔵アイツの上司でしょ』

「そんなにききてェか?」

『そー言ってるでしょ』


紅桜は妖刀なんかじゃない。妖刀なんて言い方でごまかされる代物ではない。


「紅桜ってのはな、村田やつの父が打った紅桜を雛型につくられた対戦艦用機械からくり起動兵器」


電魄≠ニ呼ばれる人工知能を有し使用者に寄生することでその身体をも操る。
戦闘の経緯をデータ化し学習を積むことでその能力を向上させていく。

まさに生きた刀。


「俺達は紅桜それを使って江戸を火の海にする」

『……そんなことまで真選組に話しちゃっていいの?』

「携帯や無線は没収した。お前に連絡を取る手段はねェよ」

『この部屋から出るかもしれないのに?』

「鍵がついてる。武器も没収した。どの道お前はここから出らんねェよ」


ククク、と高笑いをして晋助は部屋を出た。……ご丁寧に鍵をきちんと閉めて。


『鬼兵隊、ねェ…』


鬼兵隊。それは攘夷時代に晋助が率いていた義勇軍だ。昔に解散させられたが、最近復活したという噂はきいた。本当だったんだねェ。

人斬り♂ェ田似蔵。
紅い弾丸≠アと来島また子。
変人謀略家≠アと武市変平太。
人斬り万斉≠アと河上万斉。

コイツらと共に、鬼兵隊を復活させた。


晋助の言っていることが本当なら、奴らは協力な武装集団をつくりクーデターを起こすのが狙いだろう。


『昔は仲良かった…はずなんだけどなァ…』


頭に浮かんでくるのは辛かった攘夷戦争の時のことで。
そして次に浮かんできたのは現在のことで。


銀時は世が変わっても己が魂は変わらずにいて。

ヅラは守るべきものを得て革命を目指していて。

晋助はこの世を憎んで世界の破壊を望んでいて。

辰馬は剣を捨てて宇宙に夢を馳せていて。


『……あたしは?』


あたしは、過去に縛られ今に一歩を踏み出せない臆病者。


『仲間だったのは、もう過去のことだよなぁ…』


今じゃもう敵同士で、戦わなくちゃならない相手で。

真選組と鬼兵隊。
幕府と攘夷。

絶対に相容れない関係で。


『あの時、時間が止まってくれればよかったのに』


そうすればきっとみんな一緒にいられた?
離れることはなかった?
ずっとずっと一緒だった?


『……なんて、くよくよしてる場合じゃないよねェ』


早くここから脱出しないと大変なことになる気がする。
晋助はここから出られないみたいなことを言っていたけれど、そんなことはないさ。


『ふふん、ピッキングって役に立つよねー』


そう、真選組にいる以上こーゆーところに閉じ込められるのも少なくない。だから覚えてしまったのさ、このピッキングを!(※良い子のみんなはマネしないでね!)


『おっ 開いた開いた』


さて、出口はどこかなーっと。

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