▼ 満月は人を狂わせる
神楽は定春と一緒に桂を捜しに港まで来ていた。そしてそこに大きな船があることに気が付く。怪しいと感じた神楽は地図を描き定春にそれを銀時の所へ届けろと言う。
それが、数分前のことだった。
「お前この船の船員アルカ?ちょいと中案内してもらおーか。頭ブチ抜かれたくなかったらな」
船内に侵入したはいいものの、中がわからないんじゃどうしようもない。神楽は甲板に出てそこにいた男に問う。だが男は答えない。
しびれを切らした神楽はきいているのかと問う。男は煙管を蒸かしゆっくりと振り返る。
「今日はまた随分とデケー月が出てるな」
男――高杉晋助は話し出す。
「かぐや姫でも降りてきそうな夜だと思ったが、とんだじゃじゃ馬姫が降りてきたもんだ」
神楽は直感でわかった。コイツはヤバイと。
刹那、神楽の足元に銃弾が撃たれた。
「おおおおおおおお!!」
銃を放った女は来島また子だった。
また子は神楽の上に跨る。それと同時に銃を二丁神楽に向け、神楽もまた番傘の銃口をまた子に向けた。
「貴様ァァ!何者だァァァ!?晋助様を襲撃するとは絶対許さないっス!銃をおろせ!この来島また子の早撃ちに勝てると思ってんスかァ!?」
「また子、また見えてるヨ。シミツキパンツがまる見えネ」
「甘いな、注意をそらすつもりか!そんなん絶対ないもん。毎日とり換えてるもん!!」
「いやいや付いてるよ。きったねーな。また子のまたはシミだらけ〜」
「貴様ァァ!!これ以上晋助様の前で侮辱することは許さないっス!晋助様ァ!違うんス。ホントッ 毎日とり換えてますから!確認してくださいコレ…」
そう言って高杉に注意が向いたまた子を神楽は蹴りとばす。
武市先輩、とまた子が叫ぶと同時に神楽にスポットライトが当てられた。
「みなさん、殺してはいけませんよ。女子供を殺めたとあっては侍の名がすたります。生かして捕えるのですよ」
「先輩ィィ!!ロリコンも大概にするっス!ここまで侵入されておきながら何を生温いことを!」
「ロリコンじゃないフェミニストです。敵といえども女性には優しく接するのがフェミ道というもの」
神楽は向かってくる敵をなぎ倒していく。
「なんだァ この小娘!?」
「やたら強いぞォォ!!」
「ヅラぁぁぁ!!どこアルかァァ!?ここにいるんでしょォォォ!!いたら返事をするアル!!」
また子は銃を構え神楽の左肩と左足を撃った。
押さえつけろ、と神楽に近づいた浪士は蹴り飛ばされた。
「ふんごをををを!!ヅラぁぁぁ!!待ってろォォ!今いくぞォォォ!!」
力を振り絞り立ち上がった神楽は工場の方へ歩いた。
そこで神楽が見たモノは。
「なんだ、ココ」
「そいつを見ちゃあ、もう生かして帰せないな」
また子は神楽の頭に銃を押し付け、発砲した。
第四十八訓
満月は人を狂わせる
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