銀色ジャスティス | ナノ


▼ 売店ではやっぱコロッケパンが一番人気

着いたのは鍛冶屋だった。


「あの〜 すいませ〜ん、万事屋ですけどォ」


中は刀を造っていてうるさい。耳をふさぐ。


「すいませーん、万事屋ですけどォ!!」

「あーーー!!あんだってェ!?」

「万事屋ですけどォ!!お電話いただいてまいりましたァ!」

「新聞ならいらねーって言ってんだろーが!!」

「バーカバーカウンコ!!どーせ聞こえねーだろ」


トンカチが銀時の顔面に飛んできた。



***



家の中にあがらせてもらうことができた。


「いや大変すまぬことをした!!こちらも汗だくで仕事をしているゆえ手が滑ってしまった。申し訳ない!!」

「いえいえ」


絶対きこえてたよね。


「申し遅れた。私達は兄妹で刀鍛冶をを営んでおります!私は兄の鉄矢!!そしてこっちは…」

「………」


プイッと顔を背ける妹さん。


「オイ、あいさつくらいせぬか鉄子!名乗らねば坂田さん方お前を何と呼んでいいかわからぬだろう鉄子!!」

「お兄さん、もう言っちゃってるから。デカイ声で言っちゃってるから」

「すいません坂田さん方!!コイツ シャイなあんちきしょうなもんで!…ん?そちらの女性は?役人ですか!失礼ですが帰っていただきたい!!」


ホント失礼だな。


『帰るのダルいんでイヤです』

「そうですか!名前は!?」

『日比野風香』

「…ほう」

『……』


なんだ、この探るような視線は。


「…それにしても廃刀令の御時世に刀鍛冶とは色々大変そうですね」

「でね!!今回日比野さんも含めた貴殿らに頼みたい仕事というのは…」

「オイ、無視かオイ。聞こえてなかったのかな…」

「実は先代…つまり私の父が作り上げた傑作『紅桜』が何者かに盗まれましてな!!」

「ほう!『紅桜』とは一体何ですか?」

「これを貴殿らに探し出してきてもらいたい!!」

「アレェェ!?まだ聞こえてないの!?」


おかしい。なんで聞こえてないんだ!?


「紅桜は江戸一番の刀匠とうたわれた親父の仁鉄が打った刀の中でも最高傑作といわれる代物でね。その鋭き刃は岩をも斬り裂き、月明かりに照らすと淡い紅色を帯びる。その刀身は夜桜の如く怪しく美しい。まさに二つとない名刀!!」

「そうですか!スゴイっすね!で、犯人に心当たりはないんですか!?」

「しかし、紅桜は決して人が触れていい代物ではない!!」

「お兄さん!?人の話を聞こう!!どこ見てる?俺のこと見てる!?」

「なぜなら紅桜を打った父が一ヵ月後にポックリと死んだのを皮切りに、それ以降も紅桜に関わる人間は必ず凶事に見舞われた!!あれは…あれは人の魂を吸う妖刀なんだ!!」


人の魂を吸う!?


『ちょっ 勘弁してよ!銀時はともかくあたしにも何か不吉なことが起こるかもしんないじゃん!!』

「風香ちゃん!?何それどーいうこと!ともかくってどーいうこと!?」

「坂田さん 日比野さん、紅桜が災いを呼び起こす前に何卒よろしくお願いします!!」

『「聞けやァァァ!!」』


コイツ会ってから一回もあたし達の話聞いてないよ!!


「…兄者と話す時は、もっと耳元によって腹から声を出さんと…」

『えっ そうなの?』

「お兄さァァァァァァん!!あの……」

「うるさーい!!」

「ぶべらァ!!」


鉄子さんの言う通りに銀時がやると、平手打ちをされた。

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