▼ 一寸の虫にも五分の魂
「もういい俺がやる!早くお前らあがるんだ!!」
『こんなヌルヌルの土台なんてあがれるわけないでしょ!気持ち悪いんだけど!!』
そうこう言ってる間に勝負は始まろうとしていて。あたしを除く三人は意を決して土台になった。近藤さん、土方さん、新八の順で。そして銀時が三人を足場にして崖を登る。
「カーブートー狩りじゃああああ!!」
銀時はサド丸22号を蹴り飛ばした。
総悟はサド丸に駆け寄る。
「旦那ァ!何しやがんでェ。俺のサド丸が!!」
「銀ちゃんひどいヨー!真剣勝負の邪魔するなんて!」
「バッキャロォォォ!喧嘩ってもんはなァ!てめーら自身で土俵にあがっててめーの拳でやるもんです!」
銀時は総悟と神楽の頭を殴る。
「遊び半分で生き物の命もて遊ぶんじゃねーよ!殺すぞコノヤロー!!カブトだってミミズだってアメンボだってみんなみんな………」
─メキッ
とてつもなく嫌な音がした。銀時はそろそろと足をどける。そこには潰れてしまった瑠璃丸がいて。
「…みんなみんな死んじゃったけど友達なんだ………。だから連帯責任でお願いします」
***
翌日。あたしと土方さんと近藤さんは長官室に呼ばれた。理由は言わずもがな瑠璃丸のことだ。
「よォ、今回は御苦労だったな。わざわざカブトムシ如きのために色々迷惑かけちまってよう」
ホントだよ、という言葉は呑み込む。……口が滑りそうだったのは秘密だ。
「で、見つかったのか?トシ」
「……ああ。まァ、見つかるには見つかったんだが」
あたしは近藤さんを前に出す。
近藤さんは全身にハチミツを塗りたくってカブトを被っていた。
『あの……突然変異…
「腹切れ」』
完
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