銀色ジャスティス | ナノ


▼ 渡る世間はオバケばかり

三人で歩いていると、井戸の方からガチャガチャと音がした。




「お前さっきから皿ガチャガチャうるせーよ。だからおいてこいって言っただろーが」

「だってコレこんなに一杯あるネ。なにコレ。何に使うアル?」

「それはアレだよ神楽ちゃん。番町皿屋敷。一枚二枚って数えていって九枚目で『一枚たりないうらめしやー』って襲いかかるんだよ」

「一枚二枚…アレ?ホントに一枚たりないヨ」

「ん?アレ。オイ、あそこに落ちてんの…」




聞こえてくるのは万事屋三人の話し声。そしてなぜか道に皿が落ちていた。




「あっ!!私とりに行ってくるアル!!」

「おちつけっつーの。隠れてるのバレるだろ」




いやもうバレてるから。




「だって元々一枚たりないのにまた一枚たりなかったら二枚もたりないヨ」

「神楽ちゃんもういいじゃない。『二枚たりないうらめしやー』でいいじゃない」

「いやアル!設定がグダグダネ!」

「ダメだって神楽ちゃん!!」




皿をとりに行こうとした神楽の足を新八がつかむ。神楽は皿をぶちまけて盛大にコケた。
ガシャァァァン、と皿が割れる。


「お…お…お皿が」

「「…………」」

『「「…………」」』


なんか…可哀相…。


『神楽』

「風香?…グスッ」

『仕事頑張ってね』


そう言ってペロペロキャンディーをあげた。



***



「チッ…チャイナ娘のせいで恐さ半減でさァ」

『そうかな?別にいいんじゃない?』

「そうだぞ。チャイナ娘だって悪気があったワケじゃねェんだ。大目にみてやろうじゃねーか」


寧ろあたしとしては大助かりだった。

そう笑い合いながら歩いていると目の前に突然現れたのはガイコツで。


『ぎゃああああ!!』

「うおっ!?」

「………これただの模型…」

『やめてっ ホントにやめてっ!!』


総悟の言葉を遮る。



『やめてって…言ってんだろーがァァァ!!』



「「(え゙え゙え゙え゙え゙え゙!?)」」


ガイコツを殴り壊した。


『イヤっ もうイヤ!帰ろう。ねっ 帰ろう!』

「ちょっ!ちょっと待て。おちつけ風香」


嫌だ嫌だと駄々をこねるあたしの肩をつかみ落ち着かせようとする土方さん。そんな時出てきたのは

火の玉。



『ギャアアアアア!!』



あたしは咄嗟に近くにいた土方さんに抱き着いた。バキッ ボキッと音がしているが気にしない。吐血してるが気にしない。


『ひっ…火ん玉だァァァァァァァ!!火ん玉ァァァ!!ギャアアアアアア!』

「うごォ!ちょっ 苦しっ!!」

「おいィィィ ちょっと!死んじゃう!!死んじゃうって!」


後ろの草むらから現れたのは落さんという町内会のオッサンだった。彼は落武者の格好をしていた。


「何やってんの君。ちょっと…はしゃぐにしても限度が!!」


でも落だから。名前がオチだから。


『ぎゃあああああ!!気持ち悪い!!』

「ぶふォ!!」


蹴り飛ばした。


「……風香」

『!? な、なに?別にオバケなんて恐くないから。恐くないから!かかか勘違いしないでよねっ』

「勘違いなんてしてねーよ。恐いのはお前だって…わかったから」

『?』


総悟がなにを言っているのかわからないあたしは首を傾げる。
結局祭りには行けなかったけど、今回はしょうがないかと諦めた。







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