銀色ジャスティス | ナノ


▼ 渡る世間はオバケばかり

そんな話があってあたし達は三人で歩いていた。
そしておかしいなと気づいたのが数分前。


『ねェ総悟?なんであたし達はお祭り会場へは行かず神社への階段を登ってるの?説明プリーズ』

「そんなに急かすことないでしょ。二人が喜びそうな所ですよ」

「……俺は嫌な予感しかしないんだが」


階段を登りきった。そこには“町内肝試し大会”という幕が鳥居にぶら下がっていた。


『……え?総悟何コレどーいうこと?』

「これは毎年かぶき町で行われている恒例の行事なんでさァ。毎年交代で町内の誰かがこーいう役回りやってるみてェで。それが今回は万事屋ってワケでさァ」


土方さんはくるりと踵を返した。


「帰る」

「まーまー待って下せェよ土方さん」

「離せ総悟。俺はこれから帰って仕事する。帰る」

『じゃ、あたしもお祭り楽しむから帰――むげふっ』


首根っこをつかまれた。ちょ、首しまってる首しまってる!!


「何言ってんでィ。三人で行くに決まってまさァ」


ニッコリと有無を言わせない笑顔。その爽やかな笑顔が今は恐いです。


『でも祭り…』

「んなモン後に決まってまさァ」

『「!?」』

「それとも…鬼の副長と零番隊隊長であろうものがオバケが恐いとか?んなわけないですよね?だって鬼の副長と零番隊隊長ですもんね」

『「………」』


言えない。今さら『やっぱやめよう』だなんて死んでも言えない…!


「風香おまおまおまえ恐いだろ?そうだよな、女の子だもんな。お前が恐いんじゃ仕方ねェやめとくかうんそうしよう」

『な…なななな何言ってんの土方さん?恐いのはアンタでしょ?人にそれなすりつけてんじゃねーよ土方コノヤロー』

「あ?こわこわこわ恐くねーよ!?」

『どもり過ぎてんだよコノヤロー』


言い争いをしているうちに総悟が係員に「三名でお願いしやす」なんて言ってくれちゃって。ああこれはもう覚悟を決めるしかないなと思い神社へと足を踏み出した。

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