銀色ジャスティス | ナノ


▼ 扇風機つけっぱなしで寝ちゃうとお腹壊しちゃうから気を付けて

……って。


『だからあたし、扇風機買いにきただけなんですけどォォ!!』


銀時の原チャリの後ろに乗り飛ばしてもらう。高速違反?知るかボケェェ!!


「おかしいぃぃ!!絶対おかしい!!扇風機買うためにきたんだよ俺は!なのに何をどうしたらこうなるんだァァ!?」

『ねェオッさん!!なにをどうしたらこうなるの!!なんなのこれは!言ってみろ!』

「え?いや知らないけど」

『あたしも知るかァァァ!!ボケェェ!!』


隣で車を運転してるオッさんにきく。そーだよあたしだって知らないんだよ!!

前から敵がくるが蹴散らす。
ここまできたらもう引きさがれるかァ!!扇風機はあたしのもんだァァァ!!







渡された地図の場所にたどり着いた。そこは倉庫で、倉庫の中央にはバカデカい招き猫があった。


『何この招き猫。気味悪いな…』

「よっこらせ」


銀時が招き猫の腕を下に引けば出てきたのは大量の小判。


「フッフッフッ 驚いたかね。天才からくり技師 十徳がつくりあげた人造金貨製造機参號じんぞうきんかせいぞうきさんごう


つまり偽金をつくり出すための機械だってのか。


「それこそが銭封機せんぷうき


男…あたし達を地球なんちゃらに間違えたオッさんが倉庫に入ってきた。後ろには部下と縛られている女の姿もある。


「ククク わざわざここまで案内御苦労だったな。金に目がくらんで後を付けられていたことにも気づかなんだか。銭封機をこちらに渡してもらおう。同志の命が惜しくばな」

「私にかまわないでェ!早くそれを壊して!!」


キャプテン(仮)が女に銃口を向ける。
いやさ、色々言いたい事あるんだけどまず……。



『まわる方の奴は?』



「………はい?」


場の空気が固まった。決してあたしがKYとかそーいうわけではないので勘違いしないよーに。



「いやだーから、これじゃなくてあのブーンってまわる方の奴は……どこにあるって聞いてんのォォォ!!」



招き猫の腕を躊躇いもなく破壊する銀時。キャプテン(仮)は悲鳴をあげた。


「ギャアアアア!!お前何してくれてんのォォ!?銭封機が…それが一体どれだけ価値のあるものか…」


『まぎらわしい名前つけやがって。アンタらジャロに電話すんぞコノヤロー』

「こんな汗だくになって…必死になって…原チャリまでオジャンにしてよう」

『やっぱエアコンにしときゃよかった。これからの時代はエアコンだよ』


あっ でも金ないんだった。



『「ちくしょオオオ!!」』



二人で銭封機に飛び蹴りを食らわし破壊した。


「あ゙あ゙あ゙あ゙!銭封機がァァ!!ひろえ!ひろえ!」

「ひろえってこれ…」

「「「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」」」


出てきた小判を集めようとした連中の上に銭封機が落ちてきた。これぞ自業自得ってやつだ。

さーてあたしの仕事はこれで終わりだ。さっさと帰ろうと歩みを進めると女に呼び止められた。


「待ちなよ!…あの…ありがとう。あんたら…江戸を救った英雄だよ。あの…お礼を…。たいしたもんはないけどウチにあるもの、ならなんでも…エアコンもあるよ」

「…エアコンなんていらねーよ」

『だからさァ 最初から言ってるでしょ。あたしは…』



***



『ハイ、ということです』


体験してきたことを全て話した。あたし偉い!


『血のにじむような思いで手に入れた扇風機なの。見な、このまばゆいばかりの光沢を』

「なんかうす汚くないですかィ、それ」

『それはアンタの目がうす汚れてるからだよ、総悟』

「否定はしねェぜ」


何ドヤってんのコイツ。


『いい?今度は壊さないように大事に使うんだよ』

「いや壊したのお前ら二人だろ」


さっそくつけよう!と思いスイッチを押すが動かない。


『あれ。おかしーな、つかない』


─カチ カチ カチ カチ


『あれ?あれ?』


─カチカチカチカチカチカチカチ…


「風香?」

『あれ?あっれー?』

「てめェェェ さてはそれ拾ってきたなァァ!!大げさな作り話までしやがって!なにが地球防衛軍だ。話が長ーんだよ!」

「ウソツキ!この大ウソツキめ!持ってった金何に使った!?酒か?クレープか?何に使ったんでさァ!!」

『いだだ!ちょっ 待って!!ホントなんだって!あたし、銀時と一緒に悪の組織やっつけたんだって!!』

「何ィ?万事屋度一緒だったのか!?ブッ殺すぞコルァ!!」

『何故!?』


ちょ、マジメに痛い!そんなに殴んないでバカになる!

扇風機の裏に『地球防衛軍より 女王様へ』と書いてある文字に気づくまであと少し。



『あたしホント地球を救ったんだって!!』







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