▼ ミルクは人肌の温度で
『あーあー、暇だなー』
なんて呟いてみるけど、暇なのは変わらなくて。
だったらマジメに仕事しろなんて言われても仕事する気なんてさらさらないしさ。
さてどうしたもんかと頭を悩ませていると、スナックお登勢から話し声が聞こえてきた。あたしは迷わず店内に入る。そして目にしたのは、
『…銀時?』
ベビー銀時だった。
第三十九訓
ミルクは人肌の温度で
『何、銀時アンタまたどっかの女としけこんだの?』
「風香お前何勘違いしてんだよ。違うから。そいつ銀さんの子じゃないから。違うから」
いやアンタこそ何言ってんの。
『このクリンクリンの猫っ毛、ふてぶてしい相貌…明らかに銀時の遺伝でしょうに』
「俺は天パの伝承者か?俺だったら子供にこんな重荷は背負わせねー。遺伝子をねじ曲げてでもサラッサラヘアーのガキを作る」
そんなの無理だよ。
「あー もう大きな声出さないでヨ、子供が泣いちゃうでしょ。ねっ?シルバーJフォックス」
「やめてくんない。その名前やめてくんない。大方定春の時と同じパターンだろ。万事屋ときいてなんでもしてくれると勘違いした誰かが置いていきやがったんだ。迷惑な話だぜ。なんとか親探しださねーとな」
「天パが責任逃れしようとしてまちゅよ〜。諦めの悪いパパでしゅね〜。ねっ?銀楽」
「やめてくんない!その落語家みたいな名前やめてくんない!」
『お前はこんなマダオになっちゃダメだよ、銀三郎』
「やめてくんない!その時代劇に出てきそうな名前やめてくんない!」
その時、赤子がぐずりだした。
「あ、ヤバイぐずりだした」
「ウンコデモモラシタンジャナイデスカ?」
「違いますよ。コレ多分お乳がほしいんですよ。誰かァァ お乳の出る方はいらっしゃいませんかァァ!!あ、風香さん」
『出ない出ない』
「私出してみるネ。今なら出せる気がするネ」
「出る訳ねーだろ!なに母性に目覚めてんの!?お前昨日も今ならカメハメ波を出せる気がするとかワケのわからん事を言ってたろ!!」
『マジでか。神楽アンタそんな事言ってんの。あらあら、昔の銀時にそっくり』
「銀ちゃんも同じことしてたアルか!!」
「お前何言ってんだ!!そんな事してねーよ!!つーか神楽お前喜ぶな!!」
「アー 私出ソウ。実ハ私昨日カラ腹ノ調子ガ悪クテ」
「だからウンコじゃねーって言ってんだろーが!お前のウンコで何が解決すんだよ、お前の便意だけだろーが!」
『お登勢さーん、ミルクちょうだい。人肌に温めたやつね』
お登勢さんがミルクを持ってきてそれを飲ませる。
おおう、かわいいな。
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