銀色ジャスティス | ナノ


▼ お母さんだって忙しいんだから夕飯のメニューに文句つけるの止めなさい

『銀時ー、早く決着つけないと大変なことになるよ。神楽が』

「なんこイマイチモチベーションがなァ…。エリザベスがどうなろうが神楽がもらそうがどうでもよくてよォ」

「白髪ァァ!!てめー私が復活したあかつきには目の前でウンコしてやるからな!」


それは恥ずかしいのはむしろ神楽なんじゃないだろうか。


「リーダーおちつけ。いいか、俺の呼吸に合わせろ。ヒッヒッフー」

「ヒッヒッフー ヒッヒッフー」

『それ出る方のやつぅぅ!!』


やめて!ホントに出たらどーすんの!!


「外野がうるさくなってきたな。そろそろ決着つけるとするか」

「そうだな。てめーとはヤケに話があうな、もっと違う出会い方したかったもんだぜ」

「いやだから、前に違う会い方してるって言ってんだろーが!!」


互いに得物を構える。服部は銀時に突っ込む…わけではなく、床に穴をあけた。


『! 銀時、下!!』


声をあげ、銀時はその場から離れる。銀時がいた場所からはクナイが出てきて、天井に突き刺さる。まったく…床下とはこざかしいねェ…。


『…? この甘い匂いは…、!』


風で流れてきた甘い香り。その匂いをかぐと、身体が動かなくなった。
それはみんなにも言えることのようだった。


「ホーホホホ 私のバラの香りはどう?忍法『呪縛旋花』。私の毒バラの香りをかいだ者は身動き一つとれなくなるわよん!」

『………』


どうやらそれは本当らしい。腕どころか指一本動かせない。


「さァ今よん、全蔵!とどめをさしなさい。ホーホホホ!」


そんな中、動いている者が一人いた。それは…、


「!! 猿ぅぅ!!なんで動けるの!?私の技が効いてな…!!まさか納豆の匂いで私のバラの香りをかき消した!?」


それは、さっちゃんだった。さっちゃんは九字を唱えながら無心になって納豆をかき混ぜている、手で。


「忍法ねば〜ぎぶあっぷ!!よみがえれェェェ!銀さん!!」

「死ねェェェ!ジャンプ侍!!」


さっちゃんが銀時に納豆を投げるのと、服部が銀時に斬りかかるのはほぼ同時だった。だけど、少しだけさっちゃんの方が早かったようで。


「死ぬのは…てめーだァァァァ!!」


顔面に納豆をかけられた銀時は呪縛から解き放たれ、木刀を服部のケツの穴にブッ刺した。


「全蔵!全蔵ォォ!!ひどいじゃない!全蔵はね、痔を患ってるのよォ!」


服部に駆け寄る薫。さっちゃんは薫の顔面に残りの納豆を叩きつけた。薫は倒れる。


「バ、バカな。シノビ6が…そんなバカな…ん?ぎゃあああああ!!」


神楽は柱…というか鉄格子を破壊して厠へ走っていった。……間に合えばいいけど…。


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!エリ…エリザベスぅぅ!!」


ヅラが悲痛な声をあげる。視線の先には鉄格子の破片が刺さったエリザベスの姿が。


「なんてこったァァ!!エリザベスがァァァ!!ひどい!ひどいぞォォォ!!そんな…アレだ…ひどいぞォォォ!!」

『ヅラ、アレおかしくない?中から綿みたいのが見えてるけど』

「それに血とかも出てねーよ」

「あり?」


だから言っただろう、とケツを押さえながら服部は口を開く。


「ここにはエリザベスちゃんはいねーって。最初からエリザベスちゃんなんていねーんだよ」

『………え?』

「まだわかんないの?あのオッさんはなァ、桂 お前の首をとるためにわざわざあんな人形つくってお前をおびき出したんだよ。お前らだまされてたんだよ。ププッ」


それって…。


「ヅラ君ヅラ君」

『どーいうこと?』

「……そういえば、前日に蕎麦のお揚げとりあって喧嘩したの忘れてた」


はァァァ!?


「お前それただケンカして出てっただけじゃねーけ!!」

『ふざけんじゃねーよ!!今までの苦労を返せェェェェ!!』


その日は夜通しで殴るなどの音が響いていた。



***



『……ヅラ?アンタ何でそんな顔してんの。エリザベス探しに言ったんじゃなかったの?』

「エリザベスが……エリザベスがァァァ!!」

『ホント何があったの』


エリザベスが結婚して子供がいた、と知らせを受けたのは翌日の話であった。

…………………え、マジで?







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