銀色ジャスティス | ナノ


▼ お母さんだって忙しいんだから夕飯のメニューに文句つけるの止めなさい

あたし達の前にいるのは伊作、剛、修輪、松尾の四人。どれも一筋縄ではいかない雰囲気を醸し出している。


「フン、あの桂がこんな優男とはな。おまけに他三人はガキ二人と女一人」

「私のデーターでは勝率99.8%と出ました。間違いなくザコです」


ザコだって?ふざけんなよキモ眼鏡コノヤロー。


「き、来ましたよ。どうしましよ、忍者なんて僕勝てる気が…」

「カレー用意!」

「カレー用意!?ないない!当たり前のようにいわないで!もってるワケないでしょそんなモン!」


スチャ、と用意する新八以外のあたし達。


「風香さん!?何で持ってるんですかァァ!?」

『持ってるのが当たり前だってヅラが言うから。それに敵さんだって持ってるし?』

「何ィィ!?僕がおかしいの?僕の16年の人生が間違ってましたか!?」


同じくカレーを用意している敵さん。


「残念ながら君達のデーターは算出済みです。このまま放とうとも99.8%の確率で封じられるとデーターに出ていますよ」

『うっさいなァ!!やってみなきゃわかんねーだろが!トリプルカレーなめんなァァァ!!』

「風香さんんん!?なんかノリノリになってません!?」

「フン 偽者と本物の差を思いしるがいい!」

「「「うおおお!!」」」


カレーを投げ合ったあたし達。結果は…


「あ゙づァァづづづづづづ!!」

「あづい芋が背中に!!芋が背中で踊っているぅぅ!!」

『あらら…大丈夫?』

「風香は何で平気アルか…」

『え?そんなの見切ったからに決まってるでしょ』

「見切ったの!?あの一瞬で!?」

『ハン あたしの洞察力ナメんな』


一方敵さんはカレーを頭からかぶることもよけることもしていなかった。そう、食べていたのだ。


『見切ってたっての。あらまぁあたしの他にも洞察力が優れてる人達がいたの』

「フフフフ、だから甘いというんだ」

『甘い?甘いのはアンタらだよ』


刹那、三人が腹をおさえてうずくまった。ちなみに伊作はあたしと同等に避けていた。


『しらない人からもらった物を食べるなってお母さんに習わなかったの?』

「己の技を誇示したいあまりに墓穴をほったな。忍術を学ぶ前に常識を学べ」


そう、あたしとヅラはカレーに薬を仕込んだのだ。
しかし予想外のことが起きた。神楽も腹をおさえ始めたのだ。え、ちょ、これってまさか…。


「てめっ 何てことしてくれてんだ。小腹がすいてちょっとつまんじまったじゃねーか」

「お前も食ってたんかィィ!!」


やっぱりかー!!


「ぐぅぅ…おのれ、これしきの便意に負けるものか。『忍』の文字は耐え忍ぶという意味もあることを忘れてもらっては困る。我が忍術見せてくれよう!忍法 分身の術!!フハハハハハ どれが本物かわかるかな!?」


そこには一人、明らかに顔色が悪い奴が。


『丸出しじゃねーかァァ!!』

「ぐぇぶ!!」


腹に蹴りを入れてやる。わかりやすいんだよ何が分身の術だ!…だけど薬を盛らなかったらこんなにうまくはいかなっただろう。


「なんて女だ、剛の分身の術を破るとは…」

「うわー、スゲェ女だな」

「おのれ、ならば俺の番だ!忍法 怒品愚ドーピング!!ふくれあがれ我が筋肉よォォ!!」

『別の所がふくれあがってるじゃねーかァ!!』


おならが出た。汚ねェな!!
またしても蹴りを入れる。


「うっわスゲェ女。俺こーさん。蹴られたくねェもん」

『いい判断だねー』

「だろ?つーワケで俺端っこで待機してますわ。後は松尾サンだけか…ファイトー」


なんて笑顔で仲間を見捨てるところ、コイツはアイツらを仲間だとは認めていないのかもしれない。いや知らないけど。


「伊作ぅ!?待っ…!まずい、私のデーターによるとこのままでは次のセリフで倒される確率が99.8…」

『御名答』


今度はヅラと一緒に頭に踵落としを決めてやった。


「おっ…おいィィィ!!何やってんだてめーらァァ!!服部どーいうことだ、最強の六人じゃなかったのか!?一人傍観してる奴いるし!!」


遠山は焦っている。そりゃそうだろう、用意していた忍がことごとくやられていっているのだから。


「ちげーよ。ペガサス流星斬はここから始まってだな」

「お前アレはペガサス座の軌跡を描いてんだよ。お前のそれメチャクチャだろ」

「服部ィィィ!てめっ 何やってんだァァ!!中学生の休み時間かァァ!!」


さっきまでの険悪な雰囲気はどこにいったんだか。


「そこの嬢ちゃん!昔ジャンプでやってた聖侍聖矢セイントセイヤの技!アレこうだろ?」

「風香!!ガツンと言ってやって。バカだコイツバカ!」

『オメーら二人ともバカだよ!!ちなみにあの技はこうだよ。お前らホントバカだな!!』



「アンタさァ、学校で一部の男子に人気あったけどなんかみんなキモかったわよね。眼鏡萌えとか」

「脇さん、アナタの親友の関さんいるじゃない。あの人陰であなたの悪口言ってたわよ」

「てめーらは何女特有の陰険な戦いしてんだァァ!!」


さっちゃんと薫さんはライバル的存在なんだろうか。

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