Aldebaran | ナノ



00


アルデバラン【Aldebaran】

牡牛(おうし)座のα(アルファ)星。赤橙色(せきとうしょく)で光度0.8等、距離60光年の巨星。冬の夜空に輝く。







大した趣味もなかった。
友達がゲームの話をしても、アニメの話をしても、俺は全くついていけない子供だった。
夜、空を眺めることくらいしかすることがなくて、星をじっと見つめて線で結んでみたりして遊んでいた。
星は毎晩同じ形をしていた。一番光る星を一等星っていうことを知ったのは小学校の授業でだった。
暗い夜空にキラキラ光る星は、宝石のようで、宝物を見つめているようだった。
図書室で、星の本を手に取ってみたけど、難しいことはわからなかったし、星座もほとんど記憶できなかった。
でも、眺めるだけはいくらでもできる。
何も考えずにずっと、空を見つめていられた。

キラキラ光る、星に憧れていたのかもしれない。
大きく光る一等星に恋焦がれていたのかもしれない。
星を見ているだけでドキドキした。

何の楽しみもない俺の心を星だけが満たしてくれていた。




prev|back|next



back






[≪novel]

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -