短編 | ナノ



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 思ってたよりも、落ち着いてた。

 けど、その日の日下部との会話は余り思いだせん。




 ただ、疲れて。帰ってきてからよう寝た。んで、スッキリして・・・腹くくったって感じやった。











 おめでとうって言葉、たくさん貰って。


 おかんが、なんか欲しいもんあるんかって聞くから、俺は東京に遊びに行く金出してくれって、頼んだ。



『なんで、わざわざそんな事せんでもこっちが帰った時でいいやん?』

『せっかくやもん、東京で遊びたいやん。先輩色々連れてってや。親にもう言うてもうたし、お金も貰ってん』

 そのメールを送ってからしばらく返事が返って来んかったから、迷惑やったかも、とか女の存在とか、色々考えてもうた。


『わかった、じゃ、こっちで日にち決めてええか?都合悪かったらまた連絡して』


『楽しみにしてます!』


 送信しました、の画面を見届けてふぅっと、息を吐いて携帯もろともベッドに沈んだ。

 一気に疲れた、なんか。


 大学受かってもずっともやもやしてて、原因はこれって事も分かってた。あと少しや。どんなことになっても、この想い・・・ちゃんと東京に捨ててこれるかな?

 引きずって、連れて帰ってこんように、今から心の準備・・・しとかなあかんよな。


 もう、先輩には先輩の生活があって、俺の知らん、世界があって。

 迷惑かけんようにって・・・・



「やっぱり、・・・・諦めんと」

 あかんよな?



 そればかりや。俺の頭ん中。大学生になれるっていう嬉しさとか、もちろんあるけど先輩に認めてもらうって、思って頑張って、先輩と同じ大学生でやっていくって漠然と考えてた。

 やけど、先輩は俺のどこを見んの?

 こんなに離れてて、メールも数えるくらいしかせんくって、こんなんで、先輩の親友にまで上がれるかって、そんなん無理っぽいやん。

 取り敢えずは、俺のこの気持ちが一番厄介で、何とかせんとあかん事。

 それから先輩と繋がってられるか、終わってまうかは・・・タイミングと、運と、先輩の気持ちかな。



“結局3年間思い続けてたんやな”

 日下部に言われた言葉が、こんな最後の最後に沁みてきた。

 そうや、3年間も。

 人を好きになるのに、何年も、とか期限とか無い。けど、俺は叶わん男に一筋やった。

 後悔なんてしてない。先輩がおってこその今の俺やから。人を好きになる苦しさも知った、抑える事が出来へん気持ち、知った。

 

 最後は、笑って、全部ひっくるめて、いい思い出にするんや。





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