短編 | ナノ
10
「で、もっ・・・尚っ触れてもっくれないしっ・・・キスだって・・・昨日だって、俺より友達の方が・・・」
なんで、こんなこと言う羽目に・・・
自分からキスほしいとか、おねだりしてるみたいじゃないか・・・
恥ずかしさに、今度は逃げたくなった。
「そ、れはっ・・・。・・・俺だって、成に触れたくてキスだって・・・つーか、ややややや」
俺を覗き込んで、そこまで言うと
またボスッと俺の顔の横に沈み込んだ尚。
「や?」
「・・・やりてーとか、思ってて」
また耳元に、湿った尚の声
「っ・・・」
こんな、姿勢でそんな事言われたら。
変に意識してしまう―――。
「成、引いた?・・・俺は常に成見て欲情して、お、襲いそうで。傷つける前に、お前と距離とってた。けど・・・我慢もー・・・限界。」
「ふあっ!」
「いつだって、こうやって押し倒したくって」
首筋に顔を埋め、唇と舌が這う感触に気持悪さなんて無かった、むしろ・・・
「ちょ、尚、な・・・・尚人っ」
慌てて押し返すとあっさりと尚は離れていく
「ご、め・・・」
「もっと、強引で・・・良いよ。」
それくらいのほうが、尚はちょうど良いと思う。
俺のこと考えて、離れられる方がどれだけ辛いか・・・。
「ま、じ?・・・じゃぁ、遠慮なく!」
目をキラキラさせて、また俺を押さえ込んだ尚の髪を引っ張って慌てて抵抗した。
「まてっ!きょ、今日はキスだけっ!」
「・・・・」
「・・・だ、ダメかな?」
「・・・成」
眉毛を下げて笑いを堪えながら
尚がそっとキスしてくれた
「いきなりは、俺だって怖いけど・・・尚が離れていくほうがイヤだ。・・・少しずつ、ふ、触れ合いたい。・・・だからもう宮本さんの所・・・行かないで―――んっ」
顎を捉えて、また尚がキスをくれる。
さっきよりも、熱くて、長くて・・・
た、食べられそうな・・・
「ゴメンな。」
「宮本さんに、相談するなら・・・俺にしてよ」
「成の相談を・・・成に?」
「うん。なら、尚の考えてる事もわかるし、答えも導きだせるだろ?」
「あはは、だな。じゃぁ、早速。成から・・・お預けくらってんだけどどうしたら良いと思う?」
「―――っ、お、お預けって・・・だ、だから心の準備がっ・・・」
「成に触れたいって思う、成を・・・早く抱きたい」
「っ、譲歩し合おう。なっ?」
俺と尚の歩みは遅いかもしれないけど
やっぱり俺は尚とは離れたくなくて
いつまでも一緒に居たいって
また、思えた。
俺が尚に頂かれるのはまだ先だけど
俺のために我慢してくれる尚をもう少し見ていようと思う・・・。
甘かったり酸っぱかったり。
両思いだって、そんな恋愛してるんだ。
END
20071206
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