LALALA | ナノ



LALALA
01






笑顔は、全ての人に対する俺なりの防御だ

自分を守るための道具に過ぎなかった







光流(ひかる)と洸祈(こうき)それが俺達の名前だ。
生まれてすぐくらいからよく笑い、名前がぴったりだと周りから言われてたんだと聞かされたことがある。

何をするにも一緒で、容姿もそっくりで二人が入れ替わってもわからないなどとも言われた。しかし個性というのは本当に十人十色で俺たちは少しずつ同じではなくなってきた。
成長と共にその差はわかりやすくなっていった。
兄の光流は努力家だった。それが結果に繋がり成績という形で残していった。
そして俺、洸祈は何をしても結果には残らなかった。

何をしてもダメってわけではないけど。
全てにおいて平均的にこなすのが兄の光流で俺は自分の得意分野だけそこそこできて他はもうからきしダメだった。興味がないことには全く意識が向かないのだ。

形として残るようになると回りの目ってのも明らかに光流に向いてくるようになった。
周りは光流に期待を抱く。俺も何でもそつなくこなす光流を尊敬してたから、どうしても双子の俺とを比べて出てくる言葉を仕方ないと思っていた。

成長と共に少しづつ変わってきている事もある。
光流には長男という言葉が付き纏うようになった。特に由緒正しい家というわけでもないが、できる光流には親からも期待の目が注がれ、逆に俺は声をかけられることが減ってきた。
俺もあきらめに似た気持ちは成長の中で持つようになり、そんな家族とは徐々に距離を測ってしまっていたんだと思う。


それでも俺は良かった。
俺は俺で、光流は光流だと、思っていたから。

そう、思っていても。
どうせ同じような顔に生まれてきたのなら、同じ細胞から生まれたのに、なぜ俺は光流じゃ無かったんだろうって。
なぜ、俺は俺なんだろうって、どうしようもなく考えてしまうときがある。
誰からもちやほやされて、それが光流の色なんだと。俺はマイペースでそれを変えれるわけでもないのだから、どうにもならないとわかっているんだけど…。

俺には手に入れられないものを、光流はたくさん持っていた。
頭の良さだって、器用な所だって。
優しさだって。
いつでも俺の事を考えてくれていて、俺にその優しさを向けてくれる…それは小さい時からずっとだ。
一緒に生まれたからといっても、自分が兄だと自覚していたんだろう。

光流に向けられる多くの視線は、俺たちがどうしようとも・・・俺、洸祈には向けられることはないんだ。
些細なことで傷ついてたのは昔の話し。

親戚からの言葉をいつからか笑って逃げるようになった。
光流から与えられる俺への気遣いに俺はなんてことないんだって笑顔で伝えた。
笑っていれば、相手は悪い気なんてしない。
笑っているから俺が傷ついたって気づきもしない。
必要のない感情を向けられることを、笑顔ではねのけた。

俺は笑顔で自分にも、周りにも嘘をつく。






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